16※
「ま、ちょっ……待って……」
思わず逃げようとした腰を陽炎が引き寄せる。
再び後孔に熱の塊が押し付けられた。
「こら、力抜け」
陽炎が腰を突き入れ、中に侵入し始める。
「ふ、ぁぁ、あ、ぅぁ………」
ゆっくり揺らして、慣らしながら、陽炎は少しずつ信長の中に己の一部を沈めていけば、ゆっくりと、確実に陽炎を呑み込んでいった。
「んっ、か……げ、ろっ………苦しっ……！」
余りの圧迫感に、生理的な涙が浮かび、信長は呼吸が浅くなり始める。
「大丈夫だ、落ち着け。ゆっくり息しろ」
苦しみに喘ぐ信長の頬を優しく撫でながら、慣れるのを待っては腰を進める。
「ふ、ぅ……んんんっ………」
根元まで陽炎を呑み込んだ信長は、その圧迫感と苦しさに喘いだ。
「痛くはないだろ？」
確かに、痛くはない、けどっ！
苦しいものは苦しいっ！
「ふぅぅ、ぅぅ〜〜っ」
苦しさの余り、ぼろぼろ涙が溢れてしまう。
陽炎は、汗の滲む信長を抱き締めて、頬に口付けた。
陽炎はいつも優しい。
ちゃんと、信長が慣れるまで待ってくれる。
苦しいのも変わらないし、圧迫感もそのままだから、慣れると言えるのかどうか分からないけど。
信長の呼吸が落ち着いたのを見て、陽炎は静かに律動を開始した。
「ぅ、くぅ……ぅぅっ……！」
圧迫感が凄くて、苦しくないわけではないけれど、陽炎が動き出してしまえば、信長にそれを止める手だてはなくて。
「ぁ……はっ、ぁぁ……」
うわぁああぁぁっ！
やめてっ、それやめてっ！！
耳元で時折漏れ聞こえる、陽炎の艶っぽい声が、信長を真っ赤に染める。
文字通り、全身真っ赤に色付いている。
「ふぁ……ぁ、ぁっ……ぅあっ！？ 」
ゆさゆさと小刻みに体を揺すられていると、中のしこりに陽炎のもの触れた。
「ん？ここ、か？」
「ひっ、ぃぃぅ……ぁっ、ぁぁぅ！」
陽炎は少し浅めに突き上げながら、ぐりぐりとしこりを擦りあげてくる。
「ゃっ……だ、だめっ……んんぅっ！」
そこ、そんなに擦ったら、良すぎて…頭、変になるぅ！
浅めの腰使いだからこそ、与えられる快感が気持ちよくて、甘い疼きが背中を駆け抜けていく。
なんだか、大切に扱われているような錯覚さえして、嬉しくて、幸せで。
余りの気持ちよさに、陽炎の首に手を回してぎゅうっと抱きついた。
「ぁ、はぁっ……気持ち、ぃ……、ひぅぅっ」
「煽んな、よっ！」
「ひぁっ！？」
思いきり最奥まで貫かれて、目の前が点滅する。
指では届かない、陽炎のものを奥まで突っ込んで、ようやく触れるような場所を陽炎が突き上げてくる。
「ぁうっ、ぅぁああぁっ！？」
強烈は快感が渦となって信長を襲った。
もはや、声を殺すなんて芸当は、到底できなくて。
もう、だらしなく口を開けて喘ぐことしか出来ない。
「ゃぁ……ゃめっ！……あ、ぁぁっ！」
「こら。声、押さえとけよ」
無茶言うなっ！
何て思いながらも、両手で口を押さえると、陽炎が耳元でクスリと笑った。
ぐりぐり奥を抉られ、快感で頭が可笑しくなりそうなほどの衝撃が押し寄せる。
「だっ、めぇぇ……っっ」
強すぎる快感に、涙がぼろぼろと零れる。
「気持ち良さそうなのに？」
陽炎が妙に良い声で囁けば、信長の体に震えが走る。
貫かれる度に狂おしいほどの快楽が、全身を甘く痺れさせていく。
涙は止めどなく溢れ、視界も歪んでいく。
もう訳が分からなくて、陽炎の動きに合わせて揺さぶられ、声をあげるしか出来ない。
「声、抑えろって！」
陽炎は信長の顎を捉え、口づけと同時に舌を差し込んでくる。絡め取られ、舌を吸われれば、それも気持ちよくて。
「ん……んんぅ」
それで声は抑えられたけど、息をするのも忘れ、頭が朦朧としてくる。
ただ、夢中で陽炎が差し出すものを貪った。
耳に届く音は、互いの荒い息づかいと、厭らしく響く水音だけ。
「ぁぁ、もう……出そうだ」
口づけの合間に、陽炎に切羽詰まったように唇の上で囁かれれば、信長も強烈な射精感に襲われる。
「んぅ……んんんぅぅっ！！」
際奥を容赦なく抉られた瞬間、目の前が真っ白になり、全身を震わせて白濁を放った。
同時に、一番奥に、熱いものが放たれるのを感じながら、信長はそのまま意識を手放した。
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