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運命の独唱(アリア)
余波

「遅い」

いつもよりも高い位置から見る景色は新鮮で
いつもよりも目線が合う会長は腹立たしい

「…連れてきた…降りる?」

「降ろせ」

「降ろさないでください。」

コテンと首をかしげた星羅に不遜な態度で命令する声と懇願の声がぶつかる

「…困った」



「…」
「…あの」

正面に見える会長と視線がぶつかる

「…あ?」

なんとも不機嫌そうな声を出して会長がティーカップを置いた

「なんで…こうなった!?」

「あぁ!?降りたくねぇっつっだろ」

「そう、…言った」

確かに言った。認めよう、数分前掛川先輩の肩の上で申しましたとも
しかし、…しかーし!

「膝の上に乗せてとは言ってないです!」

ソファに腰掛けた掛川先輩の膝の上に俺はのっている状態

「…まぁ、いい、おい星羅。降ろせ」

「…了解」

掛川先輩はいったん会長を見ると俺を隣にスライドさせた
あー…ソファがふかふかだなぁ…

「…本題に入るぞ。奏、トーナメントの話は聞いたな?」

真剣な口調になった会長の言葉に頭を縦にふる

「あ、はい。序列変更できるとか…」

「あぁ、そうだ。今日はその件でお前を呼んだ」

呼んだじゃなくて強制連行っていうんだよ。
その言葉を飲み込みながら会長の話に耳を傾ける

「お前はトーナメントに参加するな」

「は?いや、でも…」

「保護期間は過ぎるが棄権すればいい話だ。拒否権はない。」

反論を受け付けようとしない会長の言葉に口をつぐむ

「話はそれだけだ。授業に戻っていい」

握りしめた手に力が入る
理由も伝えられずに命令されることに腹がたつ

「…送る」

ポンと肩に置かれた手に肩の力がふっと抜けた。
掛川先輩は相変わらず無表情のままだ

「いえ、戻ります」

「…そう」

掛川先輩に軽く微笑むと大きな手が頭を撫でた
そのまま会長の方は向かずに扉を閉めた

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あきゅろす。
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