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運命の独唱(アリア)
リクエスト

「…でもトーナメントなんて僕はやだな」

オムライスを食べながら滝川が呟いた

「まぁ、無理することねーよ!要するにさ、棄権するにしてもエントリーすりゃいいんだろ?」

注文したA定食を食べ終えた日向が水を飲みながら答えると滝川がうつむいた

学食自体いつもよりも騒がしい
今朝全学年一斉通知だったのだろう
滝川のように気の乗らなそうな人もいればやたらと燃えている人もいる

「…ねぇ」

呼びかけにはっとすると、滝川の顔が近くにあった。周りを気にするあまり気づかなかった

「…ごめん、何だっけ」

「何だっけじゃねーよ、お前はどうなんだよ」

日向が呆れたようにため息をついた

「どうって言われても…全員参加なんだろ?参加するしかないんじゃない?」

そう呟くと滝川と日向の目が驚いたのか少し見開いた

「…なんていうか意外…」

「…お前度胸あるのな」

「…別にそういうわけじゃないよ。ただ…」

ただ…そこまでいったとこで迷った
生徒会の人達と関わったことは二人には伝えていない。リヒト先生が俺に会わせなかったのはそういうこともあるんじゃないかと思ったからだ。

「ただ何だよ?」

「ただ俺達なんてすぐに試合おわるだろ?あんまり気にすることないかなーって」

少しイラついたように急かす日向に笑いながらごまかすと滝川が微笑んだ

「…そうだね、とりあえず出れば単位もらえるだろうし」

「まぁ、そうだなっ」

滝川の言葉に日向がふっと表情を緩める
二人が会話を再開するのをみながら席をたつ

「あ、俺先いってるわ」

二人が頷いたのをみて、食器を片付けると食堂を出た。
すれ違う人もみんなトーナメントの話をしている
来月末には俺の保護対象者としての期間が切れる
今は授業免除にはなってるけど、それも解除になるからトーナメントは絶対出なくちゃいけない。

「はぁ…」

ため息が自然と口から出る
いい機会だとは思う、もしかすると自分の力がわかるかもしれない

「トーナメントか…」

「おい!」

「!?」

呟いた瞬間背後からかたをつかまれ振り向かせられる

「お前!瀬能奏だな!?」

「え…?」

俺よりも高い身長だ。だが生憎フルネームで呼ばれても俺にはわからない

「瀬能奏、俺のこと覚えてるよな!?」

「すみません、覚えてません」

目を見られないように肩をつかんでいるてを振りほどく

「あ!?覚えてないだと!?周防環だ!覚えてるだろ!」

「あ!」

怒りのあまり顔が歪んだ相手の顔をみると数日前の記憶が甦る

「思い出したか…まぁいい、瀬能奏、俺はお前にリクエストマッチを申し込む。絶対に受けろ。」

「…嫌です」

リクエストマッチなんて聞いたことなかったが面倒な予感しかしない。

「絶対に受けろ。いいな?」

「!?…放せ!」

周防の手が伸びて俺の腕を掴んだ
腕力でどれ程の差があるのか振り払おうとしても周防の手はびくともしない

「離して…」

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