運命の独唱(アリア)
homeroom
「瀬能くんっ」
「滝川」
背後から聞こえた
菱川の話を聞きつつ眼鏡をあげるに振り向く肩からずり落ちそうになる鞄を直しながら走って来る姿はひさしく笑みが零れた
「…!瀬能くん前髪切ったんだね…」
「あぁ、ちょっとな…やっぱ変?」
額に感じる前髪を引っ張ると滝川が首を横にふった
「ううん…そういうのじゃなくって…その、似合ってるけど…」
「…?」
はっきりしない滝川の次の言葉を待っていると背中に衝撃を感じた
「おはよー!滝川もー!」
「…重い…日向…」
わざわざホップステップジャンプの如く助走をつけて俺のせなかめがけてダイブしやがった日向を振りほどく
「わりぃわりぃ、てかお前大丈夫だったか?」
三人で教室に入り机に鞄をおくと日向は自分の頭をガリガリとかきながら俺の前の席に座った
「そうだよ!瀬能くん…その…ごめんね…僕と日向くんで様子見に行こうと思ったらリヒト先生に止められちゃって…」
滝川が申し訳なさそうに目を伏せる
「あー…いや、うん、連絡しなくてごめん。でもなんともないし平気」
「ならいいんだけどさ…あ、そういやお前生徒会の…「おーい、席つけー」」
日向が生徒会という言葉を出した瞬間担任が入ってきた
タイミングのよさにほっとしつつ、日向に後でなと口パクで伝えると席についた
「…ついたなー、んじゃあ始めるぞー」
担任の菱川が声を発すると教室は静まった
先生がしゃべったから黙ったわけじゃない
菱川はルックスがよくまぁ、あれ的な意味で可愛い生徒を食ってるとかよくきくくらい人気が高い
問題になってない辺り合意の上なんだろうけど
前髪伸びるまで眼鏡はマストアイテムだなと思いながら眼鏡をあげる
「まぁ、今日の本題はトーナメントについてだな」
出席を適当に終らせた菱川の言葉に教室の全員がざわつく
「来月末、校内トーナメント戦が開催される。もちろん全生徒対象、つまりお前らにも関係あるっつうはなし。まぁ、細かいことは追々話すが重要なのは1つ。」
重要な話、その言葉にクラス全員が注目する
か「トーナメントは公式戦だ。物理攻撃も魔法攻撃も何でもあり。相手を死なせるようなことは無しだがな、あとは序列変更ができる」
序列変更、その言葉に教室は一気にざわめいた
この学園は実力主義、だからこそクラス分けも上から順に入れられてゆく
「つまり、勝てばいい。勝ち進めばお前らはクラスを変えることができる。まぁ、せいぜい頑張れ」
ヒラヒラっとてをふり菱川が教室から出ると日向がせわしなく駆け寄ってきた
「おおお!もえるなっ!聞いたか?勝てばいいんだろ!で!序列変更だろ!頑張ろうぜ!」
「そんな簡単なことじゃないよ」
日向の言葉に珍しくはっきりしゃべる滝川が反論した
「勝つこと自体が難しいんだ…何でもありってことはそれだけ僕たちには不利なんだよ。才能の差がありすぎる…」
そう呟く滝川に珍しく日向もだまる
この間の一條との一件があるからか変に口出しもできないみたいだ
格差はあるに決まってる
でも自分の力がわかってるぶんみんなはいい
怖いのはわからないこと…格差があるのかもないのかも不明、希望とも絶望ともとれない自分の状態に手を握りしめた
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