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運命の独唱(アリア)
remember
side 森崎佑・風斗

かなちゃんはよく笑う
奏くんは悲しそうな顔をしない

それはなんでだろう

俺達は生まれた時から会長程ではないかもしれないけど魔力がつよく双子というのもあって期待を一心に受けて育てられてきた

森崎は鷺ノ宮や氷室とも並ぶ家柄

元々魔力にたけていた家柄というのもあってそれだけを幼い頃から教育されてきた

「そんなことできて当たり前」
「向上心をもて」
「佑に負けるな」
「風斗に負けるな」

双子といっても結局はどちらか魔力が強いもの強者のどちらかにしか用はない

だから風斗と
だから佑と

俺達は二人だけの世界を作った

同じことを同じだけ
どちらも捨てられないどちらも生かせなくなるように
家なんか要らない
俺達は二人だけでいればいい
俺達は互いに互いが最高の理解者
他には誰も要らない

俺には風斗がいる
俺には佑がいる

この学園に入ってその思いは一層強くなった
周りが俺たちをみる目は媚びていて…でも生徒会のあの人たちといる時は楽だったから今はそれなりに楽しい

瀬能奏、ぱっとしなくてEクラスのよく笑う子。
第一印象はこんな感じ
だけど違った

笑うのは幸せだから嬉しいから

そう思ってた俺達はあまり笑わなかった
だってそうじゃないから

かなちゃんだってそうなんだ
奏くんもそうだった

この子はきっと自分のためには笑ってなかった
周りへの気づかいだった

そう思った。わかってしまった
俺達よりも小さいのに大人っぽくてそれがあまりにも悲しく思えて気がついたら
かなちゃんを
奏くんを
抱き締めていた

「かなちゃん」

「奏くん」


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あきゅろす。
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