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運命の独唱(アリア)
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「よう…先輩無視した眠り姫奏くん?」

会長がなんとも行儀悪く組んだ足を机の上にのせ、俺の方をみた
どうやら俺が眠りこけていたのは生徒会メンバーに伝わってしまったらしい
というか森崎先輩たち気づいてたんだな

「…すみません」

頭を軽く下げる
理由はただひとつ、実のところあまりというか全くもって申し訳ないとおもっていないがこいつ…いや、鷺ノ宮会長の機嫌をそこなったらなにされるかわかったもんじゃない。
危険回避は鉄則だろ?

「…ほぅ…で、その謝罪はどんな手段とるつもりだ?ん?」

「…は?」

いつの間にか入口に立ち尽くしていた俺の前に会長が立っていた

「体で返してもらおうか?」

いやいやいや!意味がわからん

「…無理。」

怪しげな動きで近づいてきた会長の腕を回避して睨むと会長の口の端が上がった

「あ?無理じゃねーよ。俺の権限だ権限、会長だぞ俺は。あー…そうだな、初回っつうことでキスでいいぜ?」

「は?いや、俺男なんですけど…」

そういいながら安全マージンをとるために後ずさりする
会長とか言ってるけど実はこの人バカなんじゃないのかという疑惑が脳裏を掠めた

「あ?バカかてめぇは全寮制の男子校だぜ?女がいたら可笑しいだろ」

バカにしたような笑みと共に…いや完全にバカにしてる笑みと共に距離を詰めてくる会長にいらっとする

「そんなにキスしたいんなら雫石先輩にでもしてくださいよ。俺にするよりずっといいですよ?ほら美人だし!」

「…はぁ!?嫌に決まってんだろ!」

「…それはこっちの台詞です。奏くんも変なこと言わないでください」

代役をたてるというなんとも素晴らしい考えに吐き捨てるように会長が拒否した瞬間、代役…じゃなかった…雫石先輩が絶対零度の微笑みで立っていた

「あ?いるならいるっていえよ」

「…あまりにも下級生、それも保護対象者に言い寄る阿呆きわまりない上級生をみてしまったもので」

「ほぉ?それは誰のことだ」

「ここで会長以外の名前があがったら怪奇現象ですよ…」

三人以外は人のいない生徒会室を見渡しながらため息をつく雫石先輩に会長が舌打ちをした

「で?奏くん引っ越しは無事終了しましたか?」

「え?あ、はい」

それはよかったと微笑む雫石先輩は先程とはうって変わって優しげなものでそれがかえって怖かった

「…あ、じゃあ俺はもういきます。授業始まるんで」

生徒会メンバーは基本的その職につくことと引き換えに授業免除になるから先輩たちは出たりでなかったりなんだろうと思いながらドアにてをかける

「お前も無理に出る必要なんざねぇよ」

そう、俺も保護対象者で有る限り授業は基本的に免除になる。
でも

「いえ、なぜだかこの空間が今は一番危なそうなんで離脱します」

会長の言葉に本心を告げドアを閉める瞬間、隙間から笑いをこらえる雫石先輩と、覚えてろと言う会長の顔が見えた

「…覚えてられるか。恐ろしいにもほどがある…」

廊下に出て窓から時計台をみると8時前。
ホームルームまで時間は30分以上あるものの危険回避のため徒歩10分もかからない教室へと早足で向かった


全ては危険回避のために

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あきゅろす。
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