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少年は荊(イバラ)に捕らわれて
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「何で、お前みたいな平凡が強く美しいあの方達の傍にいられるんだ。お前なんか、ふさわしくない、ふさわしくない、ふさわしくない。誰かに必要とされる存在じゃない。そうだよ、お前に存在価値なんかないんだよ」


「違う、違う!流星は…、流星は僕を必要だと言ってくれた!傍にいろって言ってくれた!」


「あはは、そんなの嘘に決まっているじゃないか。お前と一緒にいて、何が楽しい?何を得られる?綺麗でもないくせに。どうせ、家柄だけじゃないか。まあ、あの花島家の息子っていっても、所詮ただのお飾りだろ。だって実質、今あの家の力を握っているのは―」


そうだよ。


僕があの家のお荷物なんて自分が一番よくわかっているよ。


だから、あの人が選ばれたんだ。


容姿、頭脳、経済力において全てに長けたあの人が、


花島の当主に相応しいって。


その人は……、


「花島志貴様だからね」


生徒が名前を言った時、体が強張った。なんだろうその名前を聞くのは、怖い。


酷く息苦しくて、不自然に体が震える。


いやだ、いやだ、いやだ。


その名前を呼ばないで……


ハナジマシキ?


シキ……?


その名前に心臓が激しい音を立てた。


『ひな、アイシテイルヨ』


『ひな一生離さない。誰にも渡さない』


『俺が死ぬ時は、ひなも一緒に死んで。ずっと、ずっと俺と一緒だよ』


顔色は青ざめ、不規則な呼吸が響く。胸が激しく鼓動を始めた。


「はぁはぁ……、やめ……、いやだ」


扉がきしむ音が聞こえると、激しい衝撃音とともに、埃が舞った。歪に変形した扉が蹴られた衝撃の強さを物語っていた。


霞む視界の中、僕の瞳の中には大好きな人と安心する仲間達がいた。

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あきゅろす。
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