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少年は荊(イバラ)に捕らわれて
12
流星との昼食を心待ちにしながら、時間は過ぎていき、休み時間を知らせるチャイムが響き渡った。席を立つものや食事の用意をする者など教室や廊下がにわかに活気始めた。


僕も、流星との待ち合わせ場所に向かう為に準備をしていると後ろから声をかけられた。


「陽向、食事にしよう」


「あっ、……ごめん、結城。今日は、約束があるんだ。だから……」


そう言うと、残念そうな表情を浮かべた。


「それって、生徒会長さん?」


僕の心の内を見透かしたような結城の言動に言葉に喉が詰まった。


生徒集会後の結城と流星とのやり取りを振り返ると、あきらかに何かあるとしか思えない雰囲気を思い出しちらちらと結城を盗み見てしまう。


「う……、ん……」


「まあ、先約があるんじゃ仕方ないか。また、今度一緒に食べよう」


結城は静かな微笑を見せると、軽く僕の肩を叩きその場を後にした。


結城の後ろ姿を見送った後、流星との待ち合わせ場所に向かうために教室を出た時、僕を呼ぶ声に足を止めた。


「立花陽向君だよね」


「うん」


「生徒会長さんからの伝言。場所が裏庭に変わったから、そこへ来てくれだって」


確か、待ち合わせ場所は屋上だったけど、何かあったのかな。


何か変更があった時は流星かセラフィムのメンバーから知らせてくれたのが、一般生徒だったから一瞬違和感を覚えながらも、待ち合わせ場所へと足を勧めた。


廊下の角を曲がったところでハンカチを口に当てられ意識を失った。


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