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少年は荊(イバラ)に捕らわれて

「僕……?」


「ひな、お前を迎えにきた。ひな、学園での様子はチームの情報担当から聞いた。俺は、ひなが傷つけられ、俺以外の奴らがひなに触るのは我慢できねぇ。俺はお前を傷つけるもの全てから守りたい。だから、ひな、お前を俺の学園に迎え入れる。もちろん、一緒に来るだろ?」


ぎゅっと抱きしめられる。僕は話の内容に驚きを隠せなかった。


この学園を出て、僕が流星の通う学園へ……?


流星と一緒にいられる時間が増える。そう思うと、嬉しかったけど、心から喜べなかった。事実、話の実感がわかず、複雑な気持ちだった。


流星と一緒にいたい気持ちは、本当。


でも、このまま焔達と離れたくない。


そういった気持ちになるのは、焔達との捻じれたままの関係があるからだろうか……。


どうして、僕から距離を置くようになったのか。


どうして、響は僕にあんな態度を取ったのか。


考えること、知りたいことは沢山あった。


もう、以前の関係には戻れないということをわかっていても、心の底ではあの頃のような関係に戻りたいと願う自分がいた。


僕は眉を寄せ、言い淀んでいると、


「ひな……、2週間後、俺は交換留学を終え、自分の学園に戻る。その時には、お前を連れていく。嫌とは言わせない。」


頭上から聞こえたいつもより低い声に思わず顔を上げると、流星が力強い瞳を向けていた。


「流星……」


「もう、決定だ。」


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