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少年は荊(イバラ)に捕らわれて
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「甘いな」


顔を赤くさせてあたふたする僕に喉で笑った。目を細めて笑う焔の姿は、同じ男の僕から見ても綺麗で、格好良かった。恋人がいながら、一瞬胸がドキッとなった。

あっ、でもこのこと流星に知られたら、お仕置き確実だよ……。

流星はとても大切にしてくれるけど、独占欲が強いところがある。
この前、公園でデートした時、流星目的で女の子から声をかけられた。そのことが、流星にとっては、気に食わなかったらしい。


朝まで寝かせてもらえなかったな。


どことなく雰囲気が似ている焔を見ると、違う場所にいる恋人の顔が頭に浮かんだ。


嫉妬深くて、独占欲が強いけど、僕を大切にして、とても愛してくれる人。


目を細めて笑う焔を見て、一瞬流星の姿と重なった。
気のせいかな、たまに焔と流星がなんとなく似てるって感じることがあるんだけどな。


流星と焔は名字が違うし、どっちとも兄弟がいるって話聞いたことないから、気のせいなのかも。


ぼんやりと焔の顔を見つめていると、「どうした?」と問うような視線を向けてきた。


「なんでもないよ」


僕は、左右に大きく頭を振っていると、焔は苦笑し、ポンポンと優しく頭を叩いた。


「そんなに頭を振るな。頭痛くなるぞ」


僕は頬を熱くさせたまま、残りのケーキを食べ終えた。

一休みした後で、文化祭について話し合った。


穏やかな空気。開け放たれた窓から、初夏の風が吹き込み、カーテンを揺らした。

この時、まだ僕はこの先何が起こるかなんて、予感するはずもなかった。


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