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少年は荊(イバラ)に捕らわれて

響に手を引かれながら、管理棟へとたどり着いた。
ほんの一握りの者が持つカードをカードスロットに差し込むと、重厚な扉がゆっくりと開いた。

中にあるエレベータの扉の横にもカードスロットがあり、カードを差し込み中に入ると、自動的に運転を始めた。

目的である階に辿りつきエレベータの扉が開くと、そこには学校とは思えないほどの真っ赤な絨毯が通路を占めていた。何度も、出入りしている場所だけど、いまだにこの外観には慣れないでいる。

生徒会室のドアを開けると、目の前には……


「ひなぁ〜、待ってたよ〜」


扉をあけると同時に、駆け出すようにして久遠が飛びつくように抱きついてきた。


「く、久遠?」


首をかしげるようにして久遠を見つめ名前を呼ぶと、久遠は目を輝かせ人懐っこそうな笑みを浮かべた。


「ひな、かわいい〜」


より一層深く抱きしめられる。徐々に息苦しくなり、手をばたつかせていると、伸びてきた腕によって体を引き寄せられた。軽い音を立てて、響の腕の中におさまった。


「陽向、大丈夫?」


圧迫感から解放され、軽く息を吐いた後、響に向かって軽く頷いた。


「響、なんだよ〜、響だけひなを独り占めしてさ。ちゃっかり、ひなと一緒に生徒会室まで来てるし〜。俺だって、もう少しひなと、いちゃつきたいんだけど……」


「黙って見ていれば、ひなに抱きつきすぎだよ。僕の我慢にも限界があるからね…」


「いいじゃないかぁ、たまにはさぁ」


響の冷ややかな表情とは逆に、久遠はニヤニヤとからかうような表情で言った。


そんな二人に固まっていると、響はふっと表情を緩めて、優しく僕の頭を撫でた。


「…ふふ、なんでもないよ。陽向はソファーで座って待っててね。陽向の好きなケーキと紅茶用意してくるから」


そう言うと、響は生徒会室の隣にある、給湯室へ足を運んで行った。


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