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少年は荊(イバラ)に捕らわれて

殴られる!!!


痛みを覚悟した僕の体に衝撃が襲うことはなく、かわりに柔らかい温もりと香りに包まれた。


この香りは……。


ゆっくりと目を開けると、驚愕に目を見開いた二人の生徒がいた。


「響様!!!」


「君達、確か久遠の親衛隊だよね……。ここで何してるのかな?」


「えっと、あの……」


予想にしない突然の人の登場で、二人のさっきまでの強気な態度は影をひそめていた。
さっきまでの余裕な表情は一転して顔面蒼白となり、不自然なほどに体がカタカタと震えていた。


「もし、陽向に何かしたら僕だけじゃなく、生徒会を敵に回すと思ってね」


見上げた響の表情は、別名王子様と呼ばれるさわやかな笑みとは程遠い、薄暗い頬笑みを浮かべ冷たい瞳で二人を睨んでいた。


響……?


響の普段とは違う冷たい表情に、思わず息を飲んだ。
二人は、上下に何度も首を振ると、その場を逃げるように立ち去った。


響は二人に目をくれることなく、僕をその目に映した。


その目には、さっきまでの冷たい光は影を潜め、いつもの穏やかな色を見せていた。


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