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世界で一番きみが好き

少なくとも中学の時は、貴之以外との友達と関わりがあった気がする。だけど、ある時を境に貴之の僕に対する独占が強くなった。


その結果の一つが僕の今の容姿だ。


貴之が自分以外の人間と関わらないようにと、僕の素顔を隠すように黒縁メガネをかけさせたり、前髪を長くするように言われたんだっけ………。


最初は、それが納得できなくて、眼鏡をはずそうとすると、貴之は険しい表情をしたんだ。



「瑠衣、駄目じゃないか…、俺以外の前で綺麗な素顔をさらしたら」



「瑠衣の素顔は、俺だけが見てればいいんだよ」


危ない発言が目立つようになり、貴之の僕への独占欲や執着心といったものが怖くなるときがある。


穏やかな日差しとは逆に冷たい空気が流れていく。


「今日は、お姉ちゃんと約束があるんだ……」


背中に、ジワリと汗をかきながら、眉をよせ、鳴きそうな声で呟いた。


「由真さんとの約束じゃ、仕方ないか……」


ぼそりと呟き、困ったように微笑んだ貴之の笑顔に強張っていた体の力が抜け、ほっと息を吐いた。


「瑠衣には俺だけでいい……。俺以外はいらないよね……。俺が瑠衣の一番だよ」



貴之は、僕を優しく抱きしめ、まっすぐ見つめる、うっそり呟いた。



違う……



友達が欲しい……



誰かと話したい……



その思いも凍てついた貴之の瞳を思い返すと言葉を飲み込んでしまう……。


僕は貴之の顔を見つめ、コクリと頷いた。


「じゃあ、今度は一緒に行こうね」


「うん……」



僕の返事に満足したのか、さらに深く抱きしめられたことで、視界が闇に包まれた。



そのため、貴之が怪しい瞳で恍惚とした笑顔を浮かべていることは知る由もなかった。

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