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世界で一番きみが好き

俺の意識はさっきまで抱いていた女ではなく、目の前の少女に向かっていた。


黙ったまま少女の顔を見つめていると、抱いていた女の罵倒に次第に少女の顔色が変化していった。


少女は顔色を失い、綺麗な瞳から光が無くなっていった。


何かに怯え、顔色を失いガタガタと体を震わす少女がとても痛々しくて、胸が締め付けられた。


少女は、うわ言のように許して、ごめんなさいと何度も繰り返し小さく呟いていた。


その姿が、儚くて…、切なくて…、一瞬俺の過ぎ去りし過去の記憶を思い起こした。


俺は、少女が消えてしまわないように、優しく抱きしめた。


きっと、女をこんなふうに抱きしめるなんてことは、初めてかもしれない……。
普段の俺を知った奴なら驚くかもしれないだろう…。


しばらくすると、少女は落ち着いたのか安心したような小さく息を吐いた。
少女の顔色も戻り、俺はほっと息を吐くと、意識を女に向けた。


俺は、少女を心ない言葉で傷つけた女に対し嫌悪の言葉を吐きだした。


女は、たいしたことない捨て台詞を吐いて視界からいなくなった。


女が去ってから、初めて少女と視線を交わした。そのことで、少女は俺が神宮寺海斗と気付いたらしく呆然と立っていた。


俺を見つめる少女のまっすぐで濡れたような綺麗な瞳、紅く染められた頬、ふっくらとした紅い唇が、とても綺麗だった……。
気付いた時には、少女に唇を重ねていた。


少女と口づけを交わした部分が、熱くて俺の中が満たされていくような気がした。



―俺のものにしたい……



―俺の色に染めたい……



―俺を見てほしい……



今まで俺になかった感情がじわじわと湧き出て、俺の心の中を満たしていく。
戸惑うものはあったが、不快ではなかった……


唇を離した後の少女は、頬は紅く染まり、潤んだ瞳や唾液で濡れた唇が扇情的だった。

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あきゅろす。
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