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世界で一番きみが好き

「―可愛いな。俺がキスのやり方を教えてやるよ」


海斗はクスクスと笑うと、僕の顎を掴み顔をあげ、再度唇を重ねてきた。


「や…め……」


海斗の胸に手を置き、距離を取ろうとしたが、歴然とした力の差と海斗の左手が僕の腰をしっかりと押さえたせいで、それは叶わなかった。


僕を逃がさないかのように、さらに舌が奥深くに差し込まれ、角度を何度も変えながら次第にキスが深くなる。舌を押しだそうとしたけど、逆にからめとられる。


キスを繰り返す度に、僕の腰に甘いしびれが走り、体が震える。


「あ…あふ……」


途中、合わさる唇の隙間から僕の熱い吐息が漏れた。

舌の絡み合う水音がピチャピチャと響く。


嫌なはずなのに、気持ちいい……。


まだ、恋愛経験はないといっていい僕は、初めて味わう感覚に頭に靄がかかる。


甘受する唇からもたらされる快楽によって生理的な涙が頬を伝い、足の力が抜ける。


海斗に腰を支えられていたおかげか、僕はその場に崩れ落ちることはなかった。


唇が離され、銀糸が僕達の唇の間を結ぶ。


海斗は、僕の唇の端から零れた唾液をそっと舌で舐めとり、下唇を甘噛みする。


淫靡な光景に顔を俯かせ頬を赤く染める僕に、海斗は柔らかい笑みを浮かべると、優しく包み込むように抱きしめた。


僕は足りなくなった酸素を体の中に補うかのように、息が荒く、薄く唇を開いたままだった。


初めて味わう甘い感覚に体に力が入らず、海斗にもたれかかり体を預ける形になる。


「海斗!!何やってんのや、こんないなところで!!遅刻するやろ―!!」


第3者の大声で抱きしめていた海斗の腕の力が緩んだ隙に、力いっぱい押しのけ抜け出した。



僕は、後ろから声をかけられたような気がしたけど無視して、後ろを振り返らずその場を一直線に駆け出した。



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あきゅろす。
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