世界で一番きみが好き
4
予想もしなかった人物を目の前にして、僕は海斗の顔を見つめたまま呆然と立ち尽くしていた。
「―神宮寺海斗……?」
―神宮寺海斗
それが彼の名前だ。
「Heaven」のボーカル。金色が掛かった茶髪に切れ長の金茶の瞳をもつ日本人離れをした容姿だ。
人気度は非常に高く、主に若い男女に人気がある出すCDはシングル、アルバムともに必ずオリコンチャートでトップ3以内に入っている。また音楽活動だけでなくテレビドラマ、モデルなど幅広い活動を行っている。
住む世界が違う人と、会えるとは思わなかったから正直驚いたけど、僕は、このバンドのファンだったから嬉しい。『Destiny』という曲を聴いてからファンになり、その後は毎回CDを買う様になった。
海斗は、微動だにできない僕をじっと見つめている。
「あのぅ……?」
やっとの思いで絞り出した僕の両頬をひんやりとした両手で優しく包みこんだ。
なんだか手がつめたいんだな……とぼんやりと考えた。
海斗の端整な顔が徐々に近づくと、柔らかなものが僕の唇に触れた。
「んん……っ…」
突然のことで頭が真っ白になり、何が起こったのかすぐには理解できなかった。
―キスされてる……?
僕の唇に触れる柔らかな感触が紛れもない事実を告げる。
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