世界で一番きみが好き
出会い
「ここ、どこだろう……」
僕はメイク室を出た後、一人スタジオ散策に出かけたはいいものの、正直道に迷っていた。
まさか、スタジオの中で迷うとは思わなかったから、携帯電話はメイク室に置き、今は手元にない。
……ということは、連絡手段がないよね……。
歩いていれば、いつかたどりつくかな……
一抹の不安を抱えながら歩けども辿りつかず、心身ともに疲れがピークに達する。
さすがに途方に暮れた時、
「……ゃ……ゃぁ……」
「ん……?」
誰かいるの……?
微かに聞こえる誰かの声を頼りに、おずおずと歩みを進めると、視線の先には男女がいた。
男性は壁に手をつき、女性に覆いかぶさっている。
これって…女性が襲われている…?
どうしよ…助けなきゃ……!!
そう思っても、正直怖いし、喧嘩の自信はない。たいていやられる側で、悲しいことに家の女性陣の方が強い気がする。
ドキドキと心臓の音がいやによく聞こえる。
でも……かといって、見て見ぬふりはできないよ!!
ギュッと手を握りしめ、僅かな勇気を奮い立たせると、僕はその場を飛び出し男女の元へと向かった。
「や、やめてください!!」
僕の張り叫ぶ声に、男女同時に振り返り見つめた。
僕は、すかさず歩みより女性を庇う様にして、間に体を割り込ませた。
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