世界で一番きみが好き
3
「颯人、彩乃!瑠衣をばっちり可愛くしてやってちょうだい!」
「おう!まかせときな!」
「はい、頑張りますね」
由姉の言葉を受け、気合いの入った颯人さんに促され、鏡台の前の椅子に座る。
颯人さんは、準備を始めると化粧水を塗りテキパキと僕の顔にメイクを施していった。
メイクが終わったことを告げられ、僕はゆっくりと目を開け、鏡に映っている顔を見る。
「やっぱ私の目に狂いはなかったわ。瑠衣、可愛いわよ」
「きゃあ―、瑠衣ちゃん可愛いわぁ」
「可愛らしいですよ、瑠衣さん」
完成した瑠衣の顔を見て、由姉始め玲奈さんや優奈さんも満足そうに微笑んでいた。
颯人さんも満足したような表情で、頷いていた。
そのあと、僕は彩乃から渡された衣装に着替え、無事に準備を終えた。
身につけている衣装は、花柄ピンクのふんわりとした
ワンピースだ。真っ黒な髪は、明るめブラウン系の色に胸元までの長さがあるカールのウィッグをつけ、整えた。
さすが颯人さんと彩乃さんだ……
プロの手に掛かり、僕は外見上、女の子
…モデルの「ルイ」になっている。
毎回のことながら、プロって、すごいと思う……
僕が、モデルの「ルイ」とは気付かれず、こうして仕事ができるのは、颯人さん達の力が大きいとつくづく思う。
僕がモデルをしていることは、絶対に誰にも知られちゃいけない。
由姉や玲奈さん達に迷惑をかけるし、何より……
特に貴之には知られてはいけない……。
あの時のような、悲しい出来事はもう二度と起こしてはいけないから……
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