世界で一番きみが好き 1 今にも雨が降りそうな、どんよりとした空の下、僕は人が忙しなく行き交う駅前の巨大スクリーンに映し出される映像をぼんやりと見つめていた。 時折不躾な視線を感じることがあるけど、野暮ったい前髪に黒縁メガネという僕の容姿を考えれば、仕方ないかもしれないのかな。 『初登場、今週第一位に輝きました曲です。お聞きください、Heavenが歌います、Destiny』 近くにいた女の子の歓声とともに画面が切り替わり映し出されたのは、男性3人。まず最初に真ん中の位置に立つ男性が歌い始めた。 確か名前は神宮寺海斗だったかな。金髪に近い茶髪をしており、セクシーな瞳が印象的だ。 海斗の声が身体の芯から震えるような感覚をもたらし、切ないバラード曲に何故か胸が締め付けられた。 目をつむり、言いようのない感覚に身を任せた。 自然と僕の頬を熱い雫が伝った……。 眩しいスポットライトの下、キラキラと輝く世界にいる君とは違い僕には遠い世界。 だけど、僕が海斗と、この先関わることになるなんて、この時知るよしもなかった……… [戻る] |