堕ちた先には 13 僕の言葉に満足したのか口元を緩ませると、煉はくすっと微笑んだ。 そして、リップ音を立てて頬に口付けると、僕のものを握っていた手を離し上下に激しくスライドさせた。 「やぁ…んぁ……あぁぁ――」 快感が僕の中を駆け巡り、刺激に耐えられず白濁した液体を自身の腹部の上に撒き散らした。 煉は目を細め、白い液体を人差し指ですくって舐めとった。 「はい、よくできたね。あまりにも、渚が可愛いところを見せてくれるから、俺のものがこんなになってしまったよ。今度は、渚から俺にご褒美ちょーだい」 煉は僕の腰に硬くなった自身を押しつけ、存在を示した。 熱い感触と廉の言葉に、いつかの悪夢という名の恐怖と快楽がよぎった。 いや…… 誰か…… 僕をここから…… 暗い闇の底から救い出して…… 透!!! 「透……助けて……」 僕が言葉に出した名前に、煉の動きが止まり、柔らかな笑みから一転、冷たい表情へと変わった。そして、一度大きく溜め息を吐いた。 「はあ……。また、その名前……。俺以外に渚の心を占める存在か。むかつくな。邪魔だな、そいつ。いっそ、消してしまおうか」 綺麗な顔を歪ませ、真っ暗な瞳で僕を見つめた。 「確かこの前、夏沢と2人でどこかに行ってたよね。何をしてたの?夏沢に告白された?キスされた?それとも、抱かれたの?」 煉の憎しみに満ちた瞳が僕を移す。 そんなこと、透は僕にしないよ。 そう言葉に出したかったけど、煉の凍りついた雰囲気に口が固まり、ぎゅっと目を瞑り首を横に振るしかなかった。 「ねえ、渚?誰かが渚のそばにいるだけでも許せないのに、夏沢は親友気取りだかしらないけど、傍にいて、笑顔を向けられて、声を耳にして、本当にむかつくんだよ。夏沢が消えれば、渚は俺を見てくれるのかな……」 煉の言っていることが理解できないよ 昔は煉といつでも一緒にいて、話をして、笑って、時には怒って、仲がよかった、心が通じ合っていたんだと思う。 でも、今はこんなにもすれ違う 離れていた時間が、そうさせるのだろうか…… 「な、何を言ってるの?それに、消すって…どういう事?」 真っ白な頭の中で必死に言葉を紡ぎ出した。 「消すって言っても色々なやり方があるんだよ。例えば……、社会的な意味とかね」 煉は残酷な笑みを浮かべると、休むことなく言葉を続ける。 「俺は父親からいくつか会社経営を任されていてね、最初は会社経営に関わる気なんてなかったけど、渚を守るため社会的地位は必要だと思ったから始めたんだ」 「煉……」 「確か、夏沢の父親は、食品会社の社員だったよね。そこはね、俺が社長を務める会社の傘下にあるんだ。ねえ、渚、俺の言いたいことが分かる?」 「まさか……」 「そうだよ。俺の、一言で、夏沢の父親を首にすることなんて簡単なんだよ」 「そんな……」 血の気が引いていくのがわかった。 [*前へ] [戻る] |