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堕ちた先には

僕を真っ直ぐに見つめ妖しい笑みを浮かべる煉とは逆に僕の顔は青ざめていく。


「うん……、知ってるよ……」


否を言わせぬ眼差しに対し、ぎこちなく首を縦に振るしかなかった。
再び視線が僕に移り


「何なに、どんな子?」


「可愛い?」


「どこの誰〜」


興奮したクラスメイトからの様々な質問が次々を飛び交う。


「声しか聞いたことないから、顔はわからない…」


顔をうつむき、たどたどしい声で答えた。しかし、クラスメイトはその答えで納得するはずもなく、矢継ぎ早に質問が飛んでくる。


誰か………


助けて……


普段関わらない多くの視線に晒され息苦しく、精神的にも限界を向かえようとした時、馴染み深いほっとする声が僕の震える心を和らげた。


「渚……行こう……」


僕を安心させるかのように透は笑顔を見せた。


「透……」


温かい透の手に引かれ、クラスメイトの視線を背中に受けながら、ざわめく教室を出て行った。


繋いだ手から伝わるその温もりに、なぜだか、無性に涙が出そうになった……




二人が出て行き、少しずつざわめきが収まっていく教室では、ただ一人冷たく鋭い瞳で教室のドアを見つめる煉の姿があった……


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あきゅろす。
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