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堕ちた先には

甘い声色とともに髪に温かい感触がした。
目を開けると、僕の髪を撫で穏やかな笑みを浮かべる煉の姿があった。


綺麗に微笑む煉の表情に昨日のことは夢だったのではないかと一瞬思った。

しかし、次の煉の言葉に一気に現実に引き戻された。


「渚、体は大丈夫?あまりにも渚が可愛くて我慢できなかったから沢山渚を愛しちゃったよ。でも、その分無理させちゃったよね。体つらくない…・」


「どうして……、どうしてこんな事したんだ!!!」


僕は叫ぼうとしたが昨日の行為のせいでかすれた声しか出せなかった。

そんな僕を見て、錬はクスッと笑うと


「どうしてだって?そんなの決まっているじゃないか。俺が渚のこと、いっぱい、いっぱい愛してるからだよ。渚は俺の彼女なんだから、大切にしなくちゃ」


「違う、違う、僕は煉の彼女なんかじゃ……」


僕は否定の言葉を繰り返し、煉から距離を置こうとして、体を後ずさろうとしたが、それを許そうとせず、腕をぐいっと引っ張られ、胸の中に倒れ込んだ。


「な―ぎ、あんなに可愛く喘いでいたのに、まだそんなこというの?でも、これを見たら…、素直になってくれるよね」


煉はベッドの頭に置いてあった黒い携帯を手に取り開くと、僕に一つの画像を見せた……。
その画像に映っていたのは、衣服は何も身に着けておらず、しどけない姿で眠る僕だった。


「消して……!」


震える手を伸ばし、携帯を取ろうとしたが、できなかった。


「だめだよ、渚。こんな可愛い姿の渚を消しちゃうなんて、もったいない。それに、何よりもこれは俺と渚が一つになった時の記念すべき物だからね。大事にしなくちゃ」


「………」


黙って顔を俯ける僕に追い打ちをかけるようにさらに煉は言葉を続けた。


「もし渚がこれ以上可愛くないことを言うなら俺にも考えがあるよ。俺以外の奴に見せるのはもったいないし、むかつくけど、この画像を夏沢に送ろか?送ったら、あいつどんな反応するのかな……」


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あきゅろす。
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