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堕ちた先には

窓に差し込む朝日に誘われるようにして、渚は重い瞼をゆっくりと開いた。


しっかりと開かない目で、部屋をゆっくりと見渡すと視界に映るのは、見慣れない空間。


真っ白な羽毛布団にベッドとテレビ、パソコンのみで、それ以外は家具という家具はない、とてもシンプルな部屋だった。


少なくとも僕の部屋にはCDコンポや机とか、もう少し家具が置いてあったはずだと、ぼんやりと思った。



どうして……



昨日いったい何が……?



思い出そうとするが、それを拒否するかのように、頭に霧がかかってしまう。


強い倦怠感を振り切るようにして起き上がろうとしたが、腰に響く鈍痛に起き上がろうとすることは叶わず、またベッドに逆戻りする形となる。


「ぃっ………!」


体に走る痛みに、昨日あった情景が一気に蘇ると、吐き気を催した。



そうだ……



昨日、ここで……、



僕は煉に……



弟に犯された……



どうして……



久しぶりに煉に会えて、また仲良くできると思って、僕は嬉しかったのに!!


僕と煉は決して許されない禁忌を犯してしまった。


もう元には戻れない。


僕の頬を涙が伝ったが、拭うこともせず、目の前の現実から逃れるかのように両手で顔を覆った。


「渚……、おはよう……」



真っ暗な視界に、今一番聞きたくない声が耳に響いた。


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