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堕ちた先には

渚は突然のことで正常な思考が働かず目を大きく見開いたまま目の前にある綺麗な顔を見つめた。



―これは煉の唇……?


―僕は煉とキスしてる……?



これは、夢……?



しかし息苦しさが僕の体に夢でないことを伝えてくる。



どうして!


僕達男同士なんだ。


それに兄弟で双子だ!


こんなことしちゃいけない!!


煉を押しのけようとするが、薬の影響と、煉に頭と腰をしっかり抱きかかえられたため、それは叶わなかった。


「渚…、可愛い…」


「んっ……、あんっ、んー!」


く、苦しい……


最初はついばむようなキスから次第に深くなってきたため上手く息ができず生理的な涙が溢れてきた。


頭に霞みがかかってきた頃、しだいに唇が放された。


煉は、僕の頬に伝う涙を舐めとると、一息つき満面の笑みを浮かべた。


「渚、可愛い…。渚は俺だけのものだ。俺だけの渚……愛してるよ…」


渚の胸に顔をうずめ、囁いた。



そして、顔を上げた煉の瞳の奥に狂気の色が見えた気がした。





―禁断への扉が幕を開けた

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