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堕ちた先には

莉桜とは違うクラスだけど、廊下でばったり会わないかと、ひどくびくびくしていた。


莉桜と同じクラスの話では、どうやら今日は学校を休んでいるようだ。


そのことで、ほっとしている自分がいた。


正直、莉桜にあったら、どんな態度をとったらわからなくて……、きっとひどいことを言ってしまうのではないかと、怖くなる。


俯いたまま、黙って教室に向かう僕の肩に手を置く、透の温かい手に元気づけられていた。


教室のドアを開け、友人と挨拶を交わしながら席に着くと、煉が歩み寄ってきた。


渚の顔に目をとめると、眉を寄せ渚の目もとをひんやりとした指で優しく撫でた。


「渚、おはよう。……目が赤いけど、何かあった?」


「えっ……?」


大分目もとの腫れも引き、誰も気づかないと思ったのに。


今まで離れていたとはいえ、血の繋がった兄弟であり、なおさら双子である。


血のなせるものか、少しの変化でも煉は気づいたようだ。


ただ、煉の質問に、なんて言葉を返したらいいか渚は戸惑っていた。


「昨日、渚は俺と遅くまでゲームしちゃってさ―、そのせいで俺ら寝不足なんだよな―」


助け舟とばかりに、明るく振る舞う透に目もくれず、ただ煉は黙って渚を見つめていた。


しばらくすると、にっこりと笑顔を浮かべて、


「ふ―ん、渚は夏沢の家に泊まったんだ……。二人仲良いんだね。…渚、今度ゆっくり話したいことがあるんだけど。1週間後、俺のマンションでも来ない?」


「1週間後?うん、いいけど……」


「じゃあ、楽しみにしているよ」



自分の席に戻っていく、煉の背中を見つめていると、さっき見せた笑顔とは逆に冷たい雰囲気が立ち上っている気がして、なぜか体が震えていた。

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あきゅろす。
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