堕ちた先には
9
次の日の放課後。
「渚……」
教室を出るとき、煉に声をかけられた。
「ん?」
「渚、また明日ね。帰るときは、気をつけてね」
優しく笑みを浮かべる煉に見送られ、莉桜を迎えに行くため、帰り支度でざわざわと騒ぎ始める教室を後にした。
廊下の人込みをかき分けながら隣のクラスへと向かう。
教室の中に彼女の姿が見えず、近くにいた莉桜のクラスメイトに尋ねる。
「莉桜なら視聴覚室に行くって言ってたよ」
「そっか、ありがとう」
クラスメイトにお礼を言い、視聴覚室へと足を運んだ。
階段を上がり視聴覚室へと着くと、莉桜の声と聞いたことのない男の声が聞こえた。
何故だろう……。
嫌な予感がする……。
この扉を開けないような気がする。
そう思いながらも、気になって、震える手でゆっくりと扉を開けた。
渚の目の前に飛び込んだのは、知らない男と抱き合い、激しくキスをする莉桜の姿だった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!