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堕ちた先には

「そうじゃないよ……、渚はそのままでいいんだよ。渚はとても可愛いし、綺麗だ……。」


煉は、渚の頬をことさら優しくなで、うっとりとした表情と甘い声で呟いた。


普通、この年で兄弟に可愛いって何度も言うものなのかな……。


この時渚は、煉の表情や態度に、少なからず気味の悪い感覚を覚え始めていた。


「まあ、でも、彼女が可愛い子で良かったよ。ねっ……、渚」


「うん。あっ、そうだ。煉、学校案内どうする?」


煉に対する、もやもやとした気持ちを抱えながら、渚はぎこちない笑顔を返した。


「いいよ、それはまた今度で。渚は彼女と帰るんだろうし。それに、俺急用ができたしね。とても大事な用事がね……」


煉は切れ長の瞳が細め、思わず口元が緩み、弧を描いた。


渚は、奇妙な違和感を抱えたまま、莉桜と共に教室を後にした。

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