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堕ちた先には

「煉、今いい?」


帰り支度をしている煉の背中に向かって声をかけた。


渚の声に反応して、煉は笑顔で振り向いたが、渚の隣にいる人物に目を留めると怪訝そうな表情に変わる。


しかし、煉は渚が来た理由に気付いたのか、言葉を返した。


「もしかして、渚が昼間言ってた彼女って……」


「う…ん、紹介するね。えと、僕の彼女の篠田莉桜。僕たちと同じ高校2年生。」


まさか、煉より先に彼女を紹介するとは思わなかったな……。


なんだか、気恥ずかしい気がして、少し緊張しながら彼女を紹介した。


「篠田莉桜です。よろしく……」


彼女も少し緊張しているのか頬を染めて、ぺこりと頭を軽く下げ、莉桜は自己紹介した。


「よろしく……」


綺麗な笑顔を見せた煉に、頬を紅く染める莉桜の表情を見ると、やはり女の子は自分の彼氏にするなら、格好良い人がいいのだろうかと、ぼんやり思った。


今更ながら女顔である自分のコンプレックスを気にしてしまう。


「煉は、背が高いし、頭も良いし、格好良いし羨ましいな。僕も、煉見たいになれたらいいのに……」

思わず拗ねた表情と口調で言葉を投げかけた渚に、莉桜は「そんなことないよ」と言葉を投げかけようとした。


しかし、渚と莉桜との間にさりげなく割って入った煉によって、それは叶わなかった。



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