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堕ちた先には

「ちょっと、渚君?俺のこと忘れてない?」


不満げな声が聞こえ、その主の方に顔を向けると、一人だけ蚊帳の外に置かれていた透が不機嫌な表情で立っていた。


僕と煉を交互に見て、少し訝しげな表情を浮かべていた。


「初対面なのに、いやに二人仲良さそうだけど?」


ああ、そうか。透は僕と煉が兄弟であることを知らないんだ。


「ごめん、透。え、えっと、紹介するね。煉・・・、貴堂煉は僕の双子の弟なんだ。」


僕と煉の身長を見比べて、「きょ、兄弟なのか…!?」と、説明してもなぜかまだ疑っているのが分かる透の表情に、思わず拗ねる。


し、失礼な!!


僕は、軽く溜め息を吐き、透に再度事実を告げる。


「似てないけど、兄弟だよ。双子の…」


ああ、なんだか、どっと疲れた気がする。


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