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堕ちた先には

夢をみていた。

夢の中の渚は中学1年生ぐらいの姿だった。同じ顔の彼に手を引かれ、波打ちぎわを、ゆっくりとした足取りで歩いていた。

沈む夕日の色が海に反射し、時折、小さな波の音と風とともに潮の香りを運んでくる。

「なぎ・・・、渚」

ふと渚の一歩手前に歩いていた彼が振り返り、真っ直ぐ見つめると、繋いでいた渚の手を軽く握った。

「渚…、僕は渚が大好きなんだ…」

「うん!僕も、だ〜い好き!」

彼は渚の返事に満面の笑みを浮かべると、そっと渚の手をつかみ顔のところまであげ、左手の薬指にそっと優しく唇を落とした…。

柔らかく、濡れた感触に驚き、ぎゅっと目を瞑り、次にゆっくりと目を開けた渚の目に移った世界は、暗闇だった。

でも、不思議なことに暗闇の中にいるはずなのに、なぜか渚と彼の姿だけは、鮮明に映し出されていた。
渚の耳に響くのは喘ぎともいえる自身の叫び声だった。

そして、痛みと恐怖、そして次第に感じていく快楽だった。

「ああ、やぁん、ひゃあああああ」

「なぎ・・・、渚、俺だけの渚。ずっと、俺と一緒、離れない・・・離さないよ。君は永遠に俺のもの。気が狂いそうなほど愛しているよ。だから、君も同じくらいに俺を愛して・・・俺のところまで堕ちてきて・・・」

「いや・・・、やめて、僕を愛さないで、いやあああああああ」

怖い、怖い、怖い・・・

君は、誰・・・?

ううん、違う・・・、彼を知ってるよ・・・

だって僕と彼はーだから、こんなことをしちゃいけない

だから・・・、やめてーーー!!


柑橘系の香りが漂う中、彼の名前を何度も泣き叫んだ。

これは、夢・・・?

それとも、現実?

そうだ



僕は、双子の弟に犯された。



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