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禍福は糾える縄の如し
委員長なお兄さん



「では、美化委員会の今年度のまとめは………」

今年度の委員会のまとめをしているが、ぶっちゃけ面倒だ。だって美化委員会なんてどうせすること毎年変わんないでしょ。花壇作ったり花の世話したりあとはごみの分別のポスター貼ったりするくらい。さしてやることはない。

「では最後に前委員長から一言」

ああ、うちの学校は受験のために3年生は前期で委員会を辞める。だけど、卒業前の一回だけ参加する。それが今日なのだ。でも別に委員会が同じでも特に繋がりはない。だから挨拶とかいらないと思う。

「とりあえずみんなお疲れさん。花壇とか見てるとよく手入れされてるみたいだしよく頑張ってると思う。来年は何の委員会入るか分かんねぇけど頑張ってくれ。俺からは以上だ。あと雪花 ちゃん一緒に帰ろう」

目の前でこの男が名指ししたせいで一気に私に好奇の目+驚き+αで構成された視線が集まる。隣の幸村君なんかは不機嫌だし。幸村君不機嫌になると被害を受けるのは私か真田君なんだ。真面目に勘弁してほしい。

「と、とりあえず今期の委員会は終了です。解散!!」

現委員長が無理矢理終わらせてまばらに人が帰っていく中私の元に来る輩が一人。真田京一郎。さっきの前委員長の挨拶をしたやつだ。

「雪花 ちゃん一緒に帰ろう」

怖いィィィ!! 京一郎さんではなく!! 隣の幸村君がァァァ!! 魔王が降臨なさった!!

「京一郎さん高校合格おめでとうございます。残念ですけど雪花 は俺と一緒に帰るんですよ」

めっちゃ笑顔。しかし、後ろには何か黒いもの背負ってるし、何より私は誰とも一緒に帰る約束なんてしてない。

「ありがとう。でも幸村君は部活あるんじゃないのか?」

「テニスコートの近くで工事があるんですよ。それで今日は休みです」

だから昼休みミーティングか。っていうか誰も私が部活あるとかは考えないんだ。いや無いけどさ。確かにテスト終わりだからって部活は休みだよ。

「では、京一郎さん失礼します。雪花 行くよ」

「幸村君私誰とも「黙ってついてこようか」

「はい」

逆らえません。




校門付近では柳君と真田君がいた。そういえば真田君の風紀委員会も柳君の生徒会も今日活動があったんだっけ。

「待たせたね。あと雪花 もいいよね」

「ああ」

「問題ない」


こうしてその日は3人と一緒に帰ったんだけど…いつにもまして幸村君の真田君への攻撃が強かった。多分京一郎さんのせいだ。幸村君なんか京一郎さんに対して怒ってたし、京一郎さん真田君のお兄さんだし。あんまり似てないけど。

「雪花 、弦一郎は精市に何をした?」

「多分真田君自体ではなく、京一郎さんのせいかと…」

「なんとなく想像できる」

「あの二人は初対面から仲悪いから」

「誰と誰が仲悪いって?」

「だから幸村君と京一郎さんだって……幸村君!!」

真田君苛めてたんじゃないの!? 真田君は向こうで疲弊しきってる!!

「別に仲が悪いんじゃない。ただ少しイラッとする発言が多いだけだよ」

「君のオーラはイラッとレベルじゃないよ!!」

「イラッとレベルだって」

「柳君も笑ってみてないで助けて!!」

「ああ。弦一郎も回復しそうだ。そろそろここを立ち去った方がよくないか?」

「……そうだね。そろそろ帰ろうか」

助かった。柳君にお礼言っとかないと。

「柳君ありがと。助かった」

「いや。ギャラリーができはじめていたからそろそろ止めようと思っていたところだ」

柳君神!! ありがとう。本当に柳君居てくれて良かった!!

「これで貸し1つだな」

「へ………?」

「リスクなしで助けてもらえるとでも思ったか。そう簡単にはいかない。何しろ相手はあの精市だからな。下手したらこちらまで被害を被る可能性がある。貸し2つでもいいくらいだ」

甘かった。柳君に助けを求めた私がバカだった。

「何も今すぐ返せと言ってるわけじゃない。そんなに落ち込まなくてもいいだろう」

「だって……」

「いつまでも駄々をこねるな」

「いひゃいいひゃいれす(痛い痛いです)」

「聞き分けがない奴にはお仕置きだ」

頬っぺた痛い。お仕置きとして頬っぺたつねるって……私子供か!? あれ? 私の方が精神年齢上のはずなのに。最近何かが可笑しいよ!!

「雪花 何してるの置いてくよ」

柳君はちゃっかり幸村君のところ行ってるし。なんかもういいや……いろいろ考えないようにしよう。


委員長なお兄さん 了








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