禍福は糾える縄の如し とある少女と友人の日常 前世って信じますか? 私の答えはYes。だって私、前世の記憶があるんだもん。 ――――――――――― キーンコーンカーンコーン 「終了!! 解答用紙を回収しろ」 全ての解答欄がうめられた解答用紙が回収される。これで学年末テストは終わり。あとは春休みを待つばかり!! 「雪花 、テストはどうだったんだ?」 「ばっちり」 彼、柳君とは常に成績を競っている。例に漏れず今回もだ。負けた方は勝った方の言うことをきくというペナルティーがある。前に私が負けた時は1日柳君のパシりだった。 「柳も雪花 も凄いよ。あたしなんて最後らへん空欄多すぎ。平均点いくかどうか…」 「最後の問題は一見難しそうに見えるがワークの最後の問題を少し変えただけだ」 「麗やってなかったでしょ」 「あはは…そこまで手回らなくってさ」 「赤点1つでもあったら部活出れなくなるし先輩からのお説教が……」 「絶対嫌だ!!」 「じゃあきっちりやりなよ」 「雪花 は頭良いからいいけどあたしは普通なんだって!!」 頭良い…誰でも2回同じ学年やればそこそこ良くなるよね。言っとくけど別に留年したわけじゃない。ちゃんと13歳中学1年生だ。では2回目とはなんなのか。答えは死んで生まれ変わって2度目の中学生LIFEだ。つまり、私は一度死んで生まれ変わった。前の記憶を持ったまま。たしか原因は事故だったかな。痛みに堪えきれず意識がなくなって次に起きたら赤ん坊になってた。そして段々と理解した。私は生まれ変わったんだって。 「雪花 いる?」 「幸村君どうしたの?」 「放課後に委員会あるって」 「分かった。連絡ありがとう」 「どういたしまして」 隣のクラスの幸村君は実は立海に入る前からの知り合いだったりする。穏やかに微笑む幸村君は一見無害そうに見えるけどすっごく腹黒くって魔「雪花 失礼なこと考えてない?」 なんで分かった。柳君もなんで冷静に ノートとってんのよ。助けて。 「幸村、蓮二ここにいたのか。昼休みにレギュラーでミーティングをするらしい」 真田君ナイス!! この空気を読まず入ってきてくれた。 「真田……相変わらず空気読めないよね(黒笑)」 「キエェェェ!!」 真田君憐れなり。なんか奇声が聞こえたけど気にしない。彼とは小学校の頃からの付き合いだけどあれだ。KY。空気読めない率が高い。 幸村君は黒い笑みを浮かべ、柳君はまた何かノートに書きこんでるし、真田君は……………死んではいないだろう。 この3人私の大切な友人なのだが、つい先日重要なことが発覚した…というか思い出したのだ。彼らは前世の私が読んでいた漫画の登場人物だ。主人公の通う学校のライバル校として立海が登場してた。しかも幸村君、真田君、柳君は三強とか呼ばれて別格だったはず。 この事実を思い出したのが何故先日なのかというと彼らが登場している漫画『テニスの王子様』について私が忘れていたからだ。どうやら転生する際に少しばかり記憶がとんだらしい。多分彼らと接することでその記憶が戻ったのだろう。 さて、こんな事実に直面しているのに私自身結構冷静だ。それは私の順応能力の高さとクラスメイトの普通さのおかげだ。 「雪花 一緒にお昼食べよ!!」 「うん!!」 まあ、親戚にまでキャラが居たっていうショッキングな事実があったからこれ以上に驚くことなんてそうそうないだろうけどね。 とある少女と友人の日常 了 [次へ#] |