禍福は糾える縄の如し
植物好きの………
美化委員会、私は去年もここの委員会に所属していた。別に植物に興味があるわけじゃないし、掃除が好きなわけでもない。去年はじゃんけんに負けて仕方なくなっただけである。できれば今年は図書委員になりたいなと思っていた。なのに、なのに………
「今年も同じ委員会で嬉しいよ」
こいつのせいで…幸村君のせいで………。2年連続美化委員会になるなんて!!
こうなったのは数週間前のこと…
「委員会決めるぞ。各委員会二人までな。希望の委員会のところに名前書いてけ」
「春ちゃんはどこの委員会希望?」
「私は保健委員会かな。去年もやってたから仕事とかは分かってるし」
「でも、2年連続で同じ委員会になると委員長とかになりやすいって聞いたよ」
「大丈夫。私は委員長って柄じゃないから」
「そうかな?」
どこからその自信はくるんだろう。
「そうだよ。じゃあ雪花 ちゃんはどの委員会希望?」
「私は図書委員かな。図書委員だったら選書会で自分の好きな本図書館に入れてもらえるでしょ」
「そうだね。あれ……でも、もう黒板に雪花 ちゃんの名前書いてあるよ」
「えっ!? どこ?」
私書いた覚えないんだが。
「…………美化委員会」
黒板には確かに私の名前と…
「幸村精市……」
幸村君の名前が書いてあった。
幸村君の方を見ると…笑ってる!? しかもものすごい笑顔ですか!?
「おっ、全員書いたな。じゃあこれで決まりだ」
待って下さいィィィ!! 名前書いたの私じゃないのに!! …なんて決まった後に言い出せるわけもなく決まった結果を受け入れるしかなかった。(春ちゃんはいつのまにか黒板に名前を書いていたらしい)
そして冒頭に戻る。
「幸村先輩だ!! 同じ委員会なんだ」
「幸村君がいるよ!!」
「最後に美化委員になって良かった!!」
……幸村君すごい人気です。いや、分かってたことだけどさ。隣居るの辛っ!! それを隣のこの男はしれっとして……。
「私帰りたいんだけど帰っていいかな」
「いいわけないだろ」
ですよね。
「はい、静かに。委員会始めます」
よく見知った委員長が前に出てくる。
「委員長の沢木だ。見知った顔も何人かいるようだな。よろしく」
まあ、知ってる人が居るっていう点では良いかもしれないけどさ。
「結城話聞いてるか?」
「え!? あ……すみません。聞いてなかったです」
周りからくすくすと笑いが聞こえる。超恥ずかしい。
「しっかり聞いとけよ」
苦笑気味に委員長が言ってきた。完璧意識が別の所に飛んでました。
「幸村君、今なんの話だったの?」
「花壇の水やりの担当決め。しっかり聞いときなよ」
「はい」
今回は反論のしようがない。
「以上決めたようにやること。去年は一部の人しかやってない状態だったから今年は自分の役割は自分でやるように」
確かに去年は委員長とか一部の人しか水やりとかやってなかったな。それでもみごとに枯れなかったのは幸村君のおかげだと思う。幸村君、花の世話がすごい上手い。屋上庭園とかもはや幸村君の私物と言っても過言ではないと思う。あ、たまに柳君とか真田君が手伝ってたっけ。
「じゃあ今日の委員会はこれで終わり。解散」
あー、やっと終わった。早く部活行こ。
「雪花 、何で先に行くのさ」
「いや、だって部活行くし」
「方向同じだろう。一緒に行こうよ」
まあ、いいか。
「うん」
「そういえば幸村君って花の世話上手いよね。何で?」
部室棟に着くまでふと疑問に思ったので何故花の世話が上手いのか聞いてみた。
「ガーデニング趣味だから。学校にないものは家から持ってきてたんだ」
「すごいね。じゃあ植物とか好きなんだ」
「そうだね。植物とか動物には詳しい方だと思うよ」
「たしか絵とか詩とかも好きだよね。この前詩集読んでたし」
「うん。特にフランスのやつね」
「なんかすごいよね。純粋に感心するよ」
本当、そういうところは見習わなきゃいけないと思う。
「……………」
「どうしたの?」
いきなり幸村君がフリーズした。
「まさか雪花 に普通に誉められると思ってなかったから」
幸村君の中での私はどうなっているんだろう。すごいことにはすごいっていうんだけど。
その後二人とも部活にいくために普通に別れた。そういえばさっきは穏やかに話できたよな。普段からああなら魔王なんて言われないだろうに。なんか今日は幸村君の新たな一面を発見できたような気がする。
そういえば植物といえば私の周りにもう一人植物好きが居たな。会う度に植物の話してくるし。最近会ってないけど元気なのだろうか我が従兄弟は。たまにメールでもしてみようかな。なんて思ってみたり。多分面倒だからしないと思う。
「雪花遅い!!」
余談ですがいろいろ思いながらゆっくり歩いてたら紫先輩に怒られました。
植物好きの……… 了
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