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禍福は糾える縄の如し
席替えでもしてみようか


桜も全て散り、緑が目に眩しい五月。
新しい環境にも慣れてくる頃だが……

「よっしゃ!! 後ろの席ゲット!!」

「やだー!! 教卓の真ん前なんだけど!!」

新しいクラスにも慣れた頃だろうということでHRの時間で席替えをすることになったのだが、反応は十人十色でバラバラ。本当に席替えのテンションって異常だ。この席で一日の大半を過ごすのだから分からなくもないが。私といえば位置的に可もなく不可もなくなところだった。し・か・し!!そう、しかしなのだ。


「なんで隣に居るんですかね。柳君」

「順当なるくじ引きの結果だ」

「じゃあなんで前に居るんですかね。幸村君」

「中原君が交換してくれたから。ほら、俺って人見知りじゃないか。だから知ってる人が近くに居ないと心配だろ」

おのれ中原君面倒なことしやがって。というか幸村君のどこが人見知りなのよ。

「じゃあなん私の周りテニス部ばっかりなんですかね?」

「「偶然」」

明らかに一人偶然じゃない人がいるけどね。

「雪花 !! 席離れちゃったよ。寂しい!!」

「そうだね」

麗が席近い方が良かった。

「ある程度はこの席で生活するんだから仲良くしろよ」

どうしよう不安しかない。

「雪花 ちゃんよろしく」

「あっ、春ちゃん近くだね。よろしく」

春ちゃんも今年も同じクラス。忘れてたけど中原君も。あとは委員長も。こう思うと去年同じクラスの人多いな。

「でも本当凄いね。ここにテニス部固まってるよ」

「そうだね…」

「でも雪花 ちゃんの近くだからかな」

「どういう意味かな春ちゃん」

「だって雪花 ちゃんってなんだかんだで柳君といつも席近いでしょ。だから」

「うん……イマイチよく分かんないかな」

よく分かんないけど春ちゃんってなんか無下に扱えないんだよね。多分麗になら「分かんない」の一言で切り捨てるんだけど。春ちゃんの纏う雰囲気みたいな? フワフワ系なんだよね。この娘。

「やっぱり雪花 って勉強はできるけどバカなんじゃない?」

「幸村君…いきなりなんなの?」

「三浦さんの説明分かりやすいだろう」

「説明してくれるとありがたいんだけど」

「だから雪花 はそういう運命だって話。理由はないけど何故か席がテニス部と近くなる。それだけの話だよ」

なんか強引なんだけど幸村理論。到底私には理解できません。いや、春ちゃん理論なのか?

「雪花 ちゃんと幸村君って仲良いよね」

どこをどう見たらそうなるんだろう。幸村君が一方的に私をからかって遊んでるだけだよ。たまにもしかしたら本気で嫌われてるんじゃないかと思う時あるし。

「雪花 は一緒にいて飽きないからね。だから仲良くできるんだと思う。本当、ずっと一緒に居たいよ……」

「幸村君…………?」

「というわけで修学旅行の班一緒でいいよね」

「は?」

修学旅行?

「もうすぐ修学旅行の班決めやるだろ? 雪花 居たら面白いだろうと思ってね」

そういうことね。ん…そういうことって私はさっき何を考えて………。

「なーんだ。私もしかして幸村君が雪花 ちゃんのこと好きなのかと思っちゃった」

「「それはない」」

「二人して否定しちゃって。でもこれから何かあるかもよ」

春ちゃんってば…本当に恋バナ好きなんだから。その春ちゃん曰く女の子は少なからず恋バナに興味があるものなんだって。私だって興味がないわけではないけど春ちゃんほどではない。
それに、私と幸村君に限ってそんなことあるわけがない。

「三浦さんの思考もおかしいんだね。そんな風に考えるなんて」

「おかしいな。そんなこと言われたことないんだけどね」

あれ? 何かちょっと春ちゃん黒くない? いや違うはず!! 見間違いだよね…?

「そうだよ。ただの見間違いだよ」

あれ? 私声に出てないよね?

「深く考えない方が良いよ」

……深く考えないようにしよう。

「なんの話してるのー?」

と、飛んできた麗によって話は中断されたのだった。


幸村side

中原君に言って交換してもらった席。何で交換してもらったか? だって楽しそうじゃないか。しかし、彼曰く助かったとのこと。

「幸村君交換してくれんの? 普段はいい奴なんだけどさ、テスト前の結城の前の席って生きた心地しねーんだよな。それに今回も柳が隣だろ。あの二人競いあってるから無駄に怖いんだよ」

と、言っていた。テスト前の雪花 の豹変にはやっぱり柳が関わっているらしい。しかも今までも席は近かったことは多いみたいだし。なんか……イラッとする☆ よくわかんないけど。とりあえず俺が雪花 を好きなわけがない。三浦さんの勘違いだ。だけどふいに出た言葉…「ずっと一緒に居たい」困ったことにこれは本心なんだよな…。



席替えでもしてみようか 了




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あきゅろす。
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