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季節シリーズ
40.



この話を聞いて拓未が「それならオシャレしないと」と言って自分がよく利用するアパレルショップに連れていかれ、セミフォーマルなタイプのスーツを見立ててくれた。

それは決して安い物ではなかったけれど店員さんの“これは流行を追うタイプの物ではないので体型さえ変わらなければそれなりの期間は着られる”という言葉に
思い切って購入したものの大輝にどう思われるか気になって仕方なかった。

「ありがとう」

だから彼の言葉に素直に嬉しさを感じ礼を言う。

「拓未が自分がよく行くショップを紹介してくれたんだ」

「石川に紹介されたっていうのが気にいらないがそのスーツは良く似合ってる。カフェでも道を歩いててもこの店でも注目されてたぞ」

「そんなことないよ。皆、僕より大輝を見てたんだよ」

「俺が格好いいのは昔からだ。けど今日のはやっぱり真妃を見てる奴の方が多かった。牽制するのが大変だったからな」

「何言ってるんだか」

そんな軽口を言いあいながら食べた食事は本当に美味しく、いつになくアルコールもすすんだ。

「そろそろ行くか」

最後のデザートも味わったところで大輝が立ち上がる。

「そうだね」

僕は先に店を出るように促され店の入り口から少し離れた所で待っているとほどなくして彼が出てきてそのまま、背中に手を添えられ女性をエスコートするようにされる。

「ちょっと大輝。人目が・・・・」

「そんなの気にするな」

「気にするよ」

僕がそっと離れようとすると今度は手を掴んでくる。

「大輝」

僕の呼び掛けにチラッとこちらを見ただけで口元に笑みを浮かべたままエレベーターホールに誘導する彼に結局、逆らうこともできず丁度停まっていたエレベーターに乗る。

その中は2人だけで大輝は行き先の階のボタンを押すとすぐに僕を抱きしめた。

「ずっとこうしたくて我慢するのが大変だった」

そう言って少しアルコールの匂いがする口でキスをされる。

僕は頭の片隅で“人が乗ってきたらどうしよう”と思いつつも彼の温もりが嬉しくてそのキスを甘受した。


「わぁ。夜景が綺麗に見えるね」

案内された部屋からは夜景が一望でき、思わず窓に走り寄って見惚れてしまう。

「本当はスイートを取りたかったんだけど空いてなくて」

「何言ってるの。充分すぎるよ」

その部屋はジュニアスイートだからスイートほどで無いにしてもそれなりの値段だ。

「ねえ、やっぱり半分だすよ。申し訳なさすぎる」

「それはいいって言っただろ?そんなに申し訳ないって思ってくれるんなら・・・・真妃からこっちでサービスしてくれ」





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あきゅろす。
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