季節シリーズ
15.
それまでの禁欲期間が長かったせいか大輝は何度も執拗に求めてきて僕達は激しく抱き合い、疲れ切ってしまった僕は立てなくなり
結局その日のご飯はデリバリーのピザになった。
食事の後、再び大輝に求められ、ようやく落ち着いた彼の腕の中でうつらうつらしながらふと思った。
“そう言えばこのベッドが来た時、ビックリしたな・・”
1人で寝るには大きいサイズのベッドが運ばれてきた時、驚いて「何でこの大きさ?」と大輝に聞いた。
「この大きさなら2人でも大丈夫だろ」
「男2人で寝るには狭いよ」
大丈夫だと言いきる大輝に理由を聞くと“真妃が俺の腕の中で眠れば問題ないだろ”と返ってきて思わず彼の頭を軽く殴ったのも思い出の1つだ。
大学は別々だった。
大輝は私立で国内有数の大学へ、僕はお金がかかるから国立へ行けという父の言葉通り、最高峰とよばれる国立大へとすすんだ。
父親には合格発表の時に連絡を入れたがかえってきたのは
“入学金と4年間の学費は出してやる。20歳までは生活費も出してやるがそれ以降は義務も無いし好きにしろ。
生前贈与という形でそのマンションといくらかの金をお前にやる。だからもう連絡はしてこなくていい”
というものだった。
大輝は怒っていたが僕は悲しみも怒りも感じず、むしろ何の感情も湧かないことに驚いた。
拓未との出会いはある意味、強烈だった。
教室に向かうため廊下を速足で歩いていたら角から飛び出してきた人物とぶつかり、2人の荷物が床に散らばった。
「すみません!」
僕はそう言って慌てて荷物を拾い出したがもう一方はポケッと僕の顔をみて
「うっわ!!!凄い美人!!」
と言いながら僕の顔をマジマジと見つめてきた。咄嗟に周りを見渡すと講義が始まる時間が迫っていたためか人はいなかった。
「早く拾わないと始まってしまいますよ」
とワザと低い音で声をかけると我に返ったようになり自分の荷物を拾いだした。
「急に飛び出してすみませんでした。講義に遅れると思って走ってたから」
「いえ、僕の方も急いでいたから前をよく見ていなくて・・」
先に拾い終わった僕はさっさと立ち上がり「じゃあ」とだけ声をかけて
“顔を見られたのかな・・まぁ、人がいなかったしもう会うことも無いだろうからいいか”
と思いながら歩きだした。
けど、それだけでは終わらなかった。
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