季節シリーズ
8 END
あれから1年が過ぎた。
花が好きだったし子供の頃の夢だった花屋に勤める事ができた。見た目と違い意外と重労働で手荒れはしょっちゅうだ。
花屋のオーナーは年配の女性で1から教えてくれ、お世辞だろうけど「自分のあとはあんたに任せる」と言ってくれるまでになれた。
Barのウェイターの仕事も慣れた。あまりお酒を飲まないので覚えられるか心配だったけど、オーナーである大家さんの
息子さんが「あせらなくていいから確実に覚えろ」と言ってくれたおかげでちゃんと出来るようになった。
相変わらず大家さんはいい人で「真妃ちゃんは働きすぎだ」と言ってはおかずを差し入れてくれるなどしてくれる。
僕は母親にこんな風に気遣って貰った事が無いから最初は戸惑ったけど今では素直に好意を受け入れるようになれたと思う。
でも心の中にはぽっかりと穴が開いているような喪失感は埋まらない。
これを無くせるのは大輝だけだと判っている。
だから僕は一生、この喪失感と付き合いながら過ごさなければならない。
「ただいま、大輝。今日はね・・・」
今日も写真の中の彼に話しかける。
「今日は夢で逢えたらいいなぁ」
そう呟きギュッと写真立てを抱きしめ僕は眠りについた。
End
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