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季節シリーズ



次の日、出掛ける大輝の気配を自分の部屋のドアに身を寄せて窺う。

玄関の扉が閉まる音を聞いてからベランダに出る。そこから下を見下ろしているとやがて彼が出てきた。

「行ってらっしゃい・・・ありがとう・・・さよなら・・」

聞こえるはずのない言葉を呟くと大輝がふとこちらを見上げた。

びっくりして固まってしまったけど彼は何事も無かったかの様に歩みを再開した。

姿が見えなくなるまで見送ると部屋の中に戻る。

「さぁ始めよう」

両手で頬をパンと叩き気合いを入れると行動を開始した。


夕方になり、ガランとなった自分の部屋に入りもう1度チェックをする。1つでも自分の痕跡を残すようなことはしたくなかったから。

次に心の中で大輝に謝りながら彼の部屋に入り、クローゼットに近づき扉を開け彼の洋服の中から僕がプレゼントした物を取り出していく。

「これとこれと・・あ、これもだ」

服が終わると小物に移りベルトとネクタイもより分ける。そして丁寧にたたみ箱に詰めていく。

その量は夏物冬物などを合わせると丁度、箱がいっぱいになる量だった。

その箱を玄関に運び今度はリビングやキッチン、洗面所、浴室と順番に見ていく。

「よし、何も残っていない」

元々、僕は自分の部屋以外には物を置かないようにしていたから僕の物が無くなっても食器棚以外はそんなに変化はない。
さすがに食器棚は1人分が減っただけでもかなり隙間ができてしまったが大輝はあまりキッチンには入らないからしばらくは
気がつかないだろう。

食卓の上に、手紙とマンションの登記証を置くと長年過ごした部屋を見渡し頭を下げ、僕は箱を抱え部屋を後にした。




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あきゅろす。
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