季節シリーズ
21.
「蒼介さんに合わせるから」
急に乗り気になった僕に大輝は嬉しそうにしてそう言った。
「でも・・・」
「いいんだ、俺が言い出した事なんだから。日にちが決まったら教えてくれ、場所は俺が手配する」
「うん、判った」
大輝の胸に埋めていた顔をあげ返事すると、嬉しそうにしたままの彼の顔が近づいてきて僕はそっと目を閉じた。
次の日、蒼介さんに電話をして“4人で食事でも”と言うと即OKをくれ、空いている日を教えてもらい、その日を大輝に知らせると
OKマークのスタンプが返ってきた。
「おはよう」
同じ必修の講義を受ける教室に入るといつも通り、彼が声をかけてきてくれた。
「おはよう。石川君、突然なんだけど来週の金曜日は空いてるかな?」
「来週の金曜?」
「うん。蒼介さんがその日、空いてるみたいなんだ。だから食事でもどうかなって思っ・・・」
「行く!」
僕の言葉が終わらないうちに“行く”と返事をする彼に思わず笑いが浮かぶ。
“大輝の言った通りの反応だな”
「染矢君?」
「何でもない。詳しい事は講義のあとで」
「うん、判った」
講義を受けながら大輝との会話を思い出す。
「でも石川君が男性に興味が無い人だったらどうするの?」
「大丈夫だと思う」
その言葉に彼の裸の胸にのせていた頭を持ち上げて聞いた。
「どうしてそう思うの?」
「真妃からみて蒼介さんは普段、見せないようないい笑顔だったんだろ?」
「うん。少なくとも僕は1度しか見た事が無いような笑顔だった」
「で、石川君も目をキラキラさせて蒼介さんの事、格好良いって言ってたんだろ?」
「うん」
「少なくとも蒼介さんは脈ありだと思う。もし石川君がその気が無くても蒼介さんなら落とすと思うんだ」
僕の髪を撫でながら大輝は言葉を続ける。
「それに石川君は喜ぶと思う」
彼の手の感触に心地良さを感じながら僕も続けて聞いた。
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