季節シリーズ
19.
「真妃、こいつが“お友達”か?」
「うん。っていうか初対面なのにこいつ呼ばわりしないで。石川君、ごめん。失礼な先輩で」
「う、ううん。気にしないで。俺、染矢君と同窓の石川拓未です」
「真妃の先輩の清水蒼介です。真妃と仲良くしてくれているんだって?」
「僕の方が染矢君に仲良くしてもらってるんです。講義も判らないところとか教えて貰ってますし」
「ありがとうな。知ってのとおり、真妃は人見知りが激しいから心配だったんだが君に会って安心した。
これからも真妃と仲良くしてやってくれ」
僕をおいてけぼりにして昔からの知り合いのように会話を弾ませる2人に思わず“クスッ”と笑うと石川君がハッとしたようにこちらを見た。
「ごめん!染矢君の先輩なのに俺ばかり話しちゃって」
「いいよ、別に。蒼介さんとはいつでも話せるから」
「そうそう、真妃とはいつでも話せる」
謝る拓未に笑いながら答えると横から蒼介さんが口を出してくる。
「っと、そろそろ行かないと。真妃、また飯に行こう。あっ、その時は石川君も一緒にな」
「え!いいんですか?」
「あぁ、楽しみにしてる」
“じゃあな”と普段、見せないとってもいい笑顔を残し帰っていく彼の姿を石川君はジッと見送り、そんな石川君を僕はジッと見た。
“これはひょっとして?”
他人の感情などには興味も無かった僕がこんなことに気づくようになるなんて大輝のおかげなのかもしれない。
そんなことを考えていると石川君がバッと僕の方を向いた。
「染矢君、清水さんって格好良いね!話してても楽しいし」
目をキラキラとさせながら蒼介さんについて話す彼が可愛く見えた。
帰宅して大輝にその事を話すと意外な提案をしてきた。
「4人で食事でもするか」
「え?」
「俺も1度、そいつに会ってみたいって思ってたし。この際、蒼介さんとそいつ、くっつけてしまおう」
「は?」
「蒼介さん、今、フリーだったよな?」
「多分」
「なら丁度いい」
話をすすめようとする彼をみて戸惑ってしまい、そんな様子を見て大輝は僕を抱き寄せ額にキスを落としながら言った。
「やっぱり気になるんだよ。別に真妃の交友関係に口を挟もうとは思っていないけど・・・・最近、よく一緒にいるみたいだし・・・・
大学での話になると、そいつのことがよく出てくるしな」
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