季節シリーズ
1
あぁ、やっぱり・・・
最初に思ったのは“やっぱり僕なんか・・”ということ。
同棲している大輝に約束を何度目かのドタキャンをされ1人で買い物に出かけた時、聞き覚えのある声が耳を掠めた。
そちらに視線を向けると大輝が見た事のない女性と腕を組み、にこやかに笑いながらあるショップに入っていくのが見えた。
彼が浮気をしているのは判っていた。
帰りが遅くなる日が増え、家でご飯を食べる日が減り、甘い香りがスーツから漂い、たまに石鹸の香りもした。
約束をしてもキャンセルが多くなり僕との時間は減った。
「ふぅ〜」
大きく、だけど声は出さないようにしながら息を吐く。
そうしないと涙が溢れそうだから。
「あと、どれくらい側に居られるのかなぁ・・・」
空を見上げどんどん溜まる涙を誤魔化すように呟いた。
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