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季節シリーズ



『大輝へ
  幸せな時を与えてくれて本当にありがとう。
  僕は貴方と過ごせて本当に幸せでした。でも貴方の幸せは僕と過ごすことでは無かったのですね。
  なかなか気づかないでごめんなさい。貴方の時間を無駄にさせてごめんなさい。
  お詫びにマンションの名義を大輝に変えておきました。
  売っても構わないし好きなようにしてください。
  僕が持っていた鍵はポストに入れてあります。
  
  幸せな思い出を与えてくれて本当に本当にありがとう。
                                   真妃』

「真妃!」

慌てて真妃の部屋に入ると中の荷物は何1つ残されておらず、まるでそこで生活をしていた人間がいなかったかように
ガランとしていた。

“両親の痕跡は徹底的に消したんだ・・”

真妃の過去を知り、初めてこの家に来た時に悲しそうに笑いながら言った真妃の顔を思い出す。

「まさか・・」

嫌な予感がして自分の部屋のクローゼットをみると真妃からプレゼントされた服やネクタイなどが消えている。

だがスーツには綺麗にブラシがかけられワイシャツもアイロンがかかった状態だった。

そういえば浴室や洗面所に真妃の物が無かったことにようやく気付く。

急いでキッチンにいってみると食器棚には俺の物しか入っておらず、鍋類も真妃が選んだ物だけが消えていた。

何か残っていないかとリビングを見渡すがやはり何も無い。

始めからこの部屋には俺だけが住んでいたかのような、それくらい徹底して真妃は自分がいた空間から痕跡を消していた。

「真妃・・・」

俺はただ呆然としてその場に座り込む事しか出来なかった。






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あきゅろす。
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