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「そんなことない!!」

転校生が「俺の話を聞け!」と言いながら自分を抑えていた風紀員達を振り切り、委員長に殴りかかろうとするのを
委員長は片手で抑え込んだ。

「今ので罪状追加だ。よし連れて行け」

「止めろ!離せ!」

と暴れる転校生を5人がかりで連れ行くのをみて委員長は口の端を僅かにあげた。


5日後、連日の脱走を企て悉く失敗した転校生は

「こんなところ、もう嫌だ!!」

と言い残し学校を去っていった。


「上手くいきましたね」

生徒会室に集まった面々はいつぞやのメンバーだ。

風紀副の言葉に委員長が笑いながら答える。

「そうだな。やっぱ、この前の試験で赤点取った奴は転校生と相部屋にするか友達として相手をしてやるか選ばせてやるって言ったのが
 効いたみたいだな。皆、必死で勉強して今回は赤点を取った奴はいなかったって顧問が言ってたぞ」

「先生方も喜んでたしな。一石二鳥だ」

会長は今日も委員長にひっつき、お茶を飲みながら言った。

「私だけが転校生に会うなんて貧乏くじを引いた気分です」

副会長が不機嫌な顔を隠そうともせず言うと会計がすかさず抱きしめる。
「だよね〜。ごめんね、嫌な役目をさせちゃって」

「まぁ、あんなのを貴方の眼に入れなくて済んだというのは良かったですから」

「もう〜俺のハニーは可愛すぎる〜」

いつかと同じようにイチャつきだした2人をほっといて庶務が話をすすめる。

「というか、皆、そんなに嫌がってたんだな」

「そりゃあ、あんな話聞かされたら誰だって嫌だろう」

書記が苦笑いをしながら同意する。

「あらかじめ全校生徒に話をしておいて良かったですね」

そう、転校生が来ると判った時点で全校集会を開き“こういうのが来たらこうしよう。普通の転校生なら普通に接しよう”と
話をしていたのだ。皆、普通の転校生が来ることを願ったが来たのはやはり警戒していたような彼だった。

「お前の義弟に感謝だな」

「あいつには好きな物でも送っとくよ」

自分にギュッと抱きつき満足そうに言う会長の髪を撫でながら委員長も頷く。


こうして学校の平和は保たれたことに満足げな生徒会と風紀はお茶をしながら和やかな時間を過ごしたのだった。


End




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あきゅろす。
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