short/middle
10.
それでもそんなに悩ませてしまったのかと思うとまた謝罪の言葉がでる。そんな俺に優也は場所を変えようと言ってきたから
俺は迷わず非常階段の踊り場に連れていった。
「本当に僕でいいの?」
優也の言葉に嬉しさが込み上げ、期待に胸が膨らむ。
「優也がいい。優也じゃないと嫌なんだ」
想いを込めて言うと「取り柄がない」などと言うから思いっきり否定する。こんなに可愛くて人柄もいいのに自覚が無いなんて優也らしい。
「浮気しない?」
何を言い出すんだ。
「絶対にしない」
「僕、寂しいのは嫌なんだ・・・俊君に冷たくされたらどうしていいか判らなくなる」
そんなこと、するわけがない。
「優也を寂しがらせることも泣かせるようなこともしない」
「じゃあ、もう一度言って?そうしたら僕、ちゃんと答えるから」
あぁ、もう死んでもいい。せっかく想いが通じて幸せだし勿体ないから死なないけど。
「優也、お前が好きだ。俺と恋人として付き合って欲しい」
俺の言葉を聞いて優也が胸に飛び込んでくる。
その身体を受け止めながら、天にも昇る気持ちで身体と声が震えそうになるのを何とか抑え込んで口を開いた。
「優也・・・・ありがとう」
俺は彼をギュッと抱きしめると額にキスをした。驚いた顔をしている優也におそらく今までで一番の笑顔を向けた。
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