long(ファンタジー)
8. ・
「とんでもない。私がケイト様と席をご一緒するなんて」
案の定、速攻で断られる。
「ユーリさんの立場は判ります。でも、それは他の人がいる時だけでいいです。
僕と2人の時は“友人”として接してくれると嬉しいんです」
「友人だなんて怖れ多い」とか「私はケイト様仕えの使用人ですから」などと言ってユーリは迷う顔を見せていたが
佳斗から重ねて「お願い」と言われてしまい、
「ならばケイト様が私の事をユーリとお呼び下さるのなら。あと、私などにはそのような丁寧な言葉遣いじゃなくても普通にお話し下さい」
と言うと佳斗は「え〜、交換条件ですか?」と苦笑いしながら了承してしまったため、ユーリも折れることにした。
「判りました。ありがとうございます。ではお言葉に甘えてご一緒させていただきます」
ユーリがうんうんと頷く佳斗の前に遠慮がちに座ると佳斗はお茶をすすめ、口を開いた。
「僕のこの口調はもうくせみたいなもので・・それよりユーリさん・・ユーリって何歳なんですか?」
佳斗からの突然の質問にユーリは口に含んだ茶を噎せそうになりながらも何とか飲みこんだ。
「ゴホッ」
「あ〜、ごめんなさい!」
慌ててポケットから取り出したハンカチを渡しながら佳斗は謝りユーリの背中をさする。
「だ、大丈夫です。こんなところをお見せして申し訳ありません」
「僕のタイミングが悪かったですね」
「いいえ、とんでもない。ただ思いがけないご質問だったので・・えっと、私の年齢ですか?」
「はい。何となくですけど年が近そうだなっと思って」
自分の席に戻りながら佳斗が頷く。
「私は18歳です」
「やっぱり!じゃあ、マリオン様も近い年齢ですか?」
「そうですね。マリオン様は20歳です」
「え!?年上?可愛いからてっきり年下だと思っちゃた・・」
ユーリの年齢を聞き嬉しそうにしたと思ったらマリオンの年齢を聞いて驚いた様子を見せる佳斗にユーリは笑顔を見せた。
「こんなことを言っては大変に失礼なのですが、マリオン様は本当に可愛らしい方です。ですが可愛らしいだけではなく
非常に洞察力にたけている方です」
「そうなんですか。じゃあ国王様は?」
「陛下は洞察力はもちろんですが観察力にも優れていらっしゃいます。お優しいだけでなく厳しくしなければならないところは
ちゃんと厳しくなさいますし。それに懐が深いというか私達、使用人達の事にも気を配って下さいますし、民の声にもよく耳を傾けていらっしゃいます」
「王太子時代も優秀で近隣諸国からも評判で・・でもそれを鼻に掛けることもないし常に国や民の事を考えていらっしゃいます」
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