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long(ファンタジー)
39.王の側仕え


「ケイト、そろそろ部屋に戻らない?」

マリオンからそう声をかけられ佳斗はハッとした。よく考えれば今いるのは国王であるレオンの部屋だ。

朝食を食べに来て新たに3人を紹介され、レオンが執務に向かった後もそのまま話をしていたのに今更ながら気がついた。

「そうだね。ここって国王様の部屋だもんね。居心地が良いせいかつい忘れちゃってた」

佳斗の言葉を聞きマリオンは半分嬉しそうに、後の半分は意外そうな様子を見せ、アンネとユーリは嬉しそうな様子を前面にだした。

「そうなの?僕はてっきり兄様や僕達に気を使って自分から部屋に戻るって言い出せないのかとおもった」

「えっ、違うよ?でも部屋に戻った方がいいよね」

そう言うと佳斗は立ち上がり、ユーリはそのまま佳斗の後ろに従うようにつきエリアナは先に扉に向かおうとした時、ノックが聞こえた。

「誰?」

その音にマリオンが返事をすると男の声が聞こえた。

「マリオン様、ヘルマンです」

名前を聞きマリオンとユーリが思わずといったふうに顔を見合わせると入るように指示を出す。

扉を開けて入ってきたのは眼鏡をかけた男性だった。その彼にマリオンが挨拶もそこそこに聞いた。

「ヘルマン、イルマの様子はどう?」

「おかげさまで昨夜、生まれました。イルマも子供も元気です」

「良かった!無事に生まれたんだね!」

「良かったですわ。イルマの赤ちゃんならきっと可愛いですわね」

「ヘルマンさん、おめでとうございます」

「副長、おめでとうございます」

入ってきた男に皆が口々に祝いの言葉を述べるのを佳斗は驚きをもって見る。やはりこの男にも嫌な感じは受けることが無いもののなぜか
値踏みをされているような感覚が襲ってきたからだ。

「マリオン様、アンネ様、ありがとうございます。ユーリとエリアナもありがとう。ですがユーリ、役目を忘れてはいけませんね」

ヘルマンと呼ばれた男は一通り、礼を述べると静かな口調でユーリに注意を促す。注意されたユーリは男の言葉にハッとした様子をみせ慌てて
佳斗のほうに注意をむける。

その一言でマリオン達も佳斗に謝罪すると男を紹介した。

「ケイト、彼はヘルマン・ベッカート。兄様の側仕えだよ。あと城の使用人達をまとめる手伝いもしてもらっているんだ」

「ヘルマン・ベッカートです。ヘルマンとお呼び下さい」

「竜崎佳斗です。ヘルマンさん、お立ち下さい」

ダグラム達と同じように自分の前で跪き臣下の礼をとる彼に立つようにうながすがヘルマンは立とうとしない。





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あきゅろす。
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