long(ファンタジー)
37.レオンハルト
佳斗の言葉に嬉しそうな素振りを見せレオンが機嫌よく部屋から出ていくとエリアナの口から思わずといったふうに息が漏れた。
「エリアナ」
それをみたユーリがそっと名を呼び注意を促すと彼女は慌てて頭を下げた。
「失礼いたしました。自分の感情を表情にだすなど・・・・」
「何言ってるの?エリアナさんだって人間なんだからそんなの当たり前じゃないですか」
頭を下げた彼女に佳斗が声をかけるがエリアナは頭を下げたままだ。佳斗が困った顔をするとユーリから説明が入る。
「ケイト様、私達使用人はどんな時も自分の感情を表に出すなという教育を受けるのです」
「そうかもしれないけど僕の前では思うようにして欲しいな。ユーリは解ってるよね?」
「はい」
「ならユーリからエリアナさんにそうするように言ってあげてよ。僕は友達が欲しいんだって」
佳斗の言葉にエリアナの顔に三度目の驚きが浮かぶ。
「エリアナ、ケイトはこの世界の人間ではないことは聞いてるよね?」
そんな彼女にマリオンが優しく問いかける。
「はい」
「だからエリアナが知っているというか思っている範疇に入らないと思うからいちいち驚いていると身体が持たないよ。
それに言い出したらひかないからケイトの頼み事は素直に聞いた方が無駄な時間を取らずにすむし。まぁ、無茶な事は言わないから大丈夫」
「それってフォローになって無いし」
マリオンは佳斗の小さな呟きにチラッと視線を走らせたもののそれに対しては何も言わず再びエリアナに問いかけた。
「そういえば部屋に戻って来た時も驚いた顔をしてたね。兄様をみて驚いたようだったけど?」
マリオンの問いかけに彼女は今度は困ったような顔を一瞬見せる。
「言ってもいいのでしょうか?」
「ケイト様達には思ったことをお伝えした方がいいですよ」
エリアナは傍らのユーリに思わずといったふうに確認を取り、そんな彼女にユーリは後押しをするように微笑みを浮かべ肯定の意を表し、その笑みを受け彼女は
思いきったように口を開いた。
「では畏れながら申し上げます。最初に驚いたのは陛下が感情を顕わにされていたことなのです」
「え?国王様って感情豊かな方だよね?」
彼女の口から出たのは佳斗にとっては意外ともとれる内容で今度は佳斗が驚きの表情でマリオンやアンネの方を見る。
そんな佳斗をアンネは可笑しそうに見つめ返しマリオンは笑ったまま説明をする。
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