long(ファンタジー)
32. ・
レオンが満足そうに笑みをもらすとマリオンとユーリ以外の人間は不思議そうな表情を見せるがアンネは2人の指にはめられた指輪をみて納得したような顔をみせた。
レオンは軽く手を振り、何でもないことを示し3人に立つように指示するとダグラムを見た。
「それで?」
「今は何事もありませんが、ネズミ同士が騒ぎ出すのも時間の問題かと」
「そうか・・・・」
「詳しくは後ほど」
「あぁ」
簡単なやりとりではあったが2人の間にピンと張りつめたようなものを感じて佳斗は知らずのうちに緊張をし、そんな様子を察したアンネが呆れた様子を
見せながら言った。
「お二人とも、ケイト様の前で無粋な話はお止めなさい」
その言葉に2人はハッとした顔になる。
「すまない、ケイト」
「申し訳ございません」
「いえ・・・・僕の方こそ申し訳ありません。少しでも早く慣れるように努力します」
佳斗の言葉を聞いてダグラムが納得したような顔で言った。
「なるほど、アロイスが珍しく興奮したように言鏡(ことかがみ)を使う訳だ」
「アロイスが言鏡を?」
「はい。“都合がつけば明朝、花嫁様にお会いしろ”と言ってきました」
そこで一度、言葉を切りダグラムは佳斗にむかって話し始める。
「花嫁様、誠に失礼ながら私はアロイスが滅多にないほど興奮した言葉を聞かなければ今朝、お目通りをするつもりはありませんでした。
ですが実際にお会いしてアロイスの態度も言葉も偽りがなかったということが判り、今はお会いして良かったと思っております。
エリアナは私の弟の娘ですがエリアナが幼い頃、弟夫婦が亡くなりそれからは私の元で育てて参りました。私が自ら、武術と銃の扱い方などを教えております。
十分に花嫁様のお役に立つと胸を張って言えるだけの腕は持たせておりますので存分にお使い下さい」
ダグラムの言葉に少し、引っかかりを感じながら佳斗が応えるように口を開いた。
「ありがとうございます。ですが僕はエリアナさんにはユーリと同じように僕の友達になってもらうつもりです」
佳斗の“友達”という言葉にマリオンとアンネは嬉しそうな顔をし、あとの3人は驚いた顔を見せる。
それを見ながら佳斗はダグラムに応えながら心の中では感じた引っかかりをレオンに問いかけるという器用な事をした。
≪あの・・・・ひょっとしてエリアナさんが武術を使えるというのは僕の身を守るということですか?≫
「ケイト、エリアナはユーリと共にお前を守る役目も担っている」
佳斗の心の中の問いかけを不自然にならないようなかたちでレオンが言葉で答える。
「ですが先ほどの紹介ではマティウス殿が警護についてくださるのでは?」
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