long(ファンタジー)
31.新たな出会い
ユーリが連れてきたのは男性が2人、女性が1人だった。
“1人はアロイスさんと同じくらい、もう1人はレオ様と同じくらいの年かな。女性は・・・・判らないな”
そんな事を思いつつ、佳斗はアンネの時と同じように立ちあがろうとするとレオンに静かに制される。
「ケイトはそのままでよい」
“そのままでいい”と言われ、あげかけた腰を下ろしたものの本当にいいのかと思い、チラッとマリオンを見ると笑顔で微かに頷く。
それを見て佳斗も微かに頷き返し改めて3人の方を向くとレオンは自分の席から手を伸ばし、佳斗の手を取るとその指にはめられた例の指輪にキスをしてそのまま手を軽く握る。
ふいを衝かれた佳斗が気をとられている間に3人はレオンと佳斗の目の前まで来て、右手を左胸にあて片膝をたてて跪く。
「ケイト、紹介しよう」
3人の中で1番年長者の男性を示しながらレオンが自ら、1人ずつ紹介し始める。
「ダグラム・コンラートだ。父上の時代から我が国軍の将軍を務めている。厳つい顔で厳しいところもあるが実直な男だ」
「ダグラムとお呼び下さい」
「こっちはマティウス・トルステン。私が王位に就いてから国軍の副将軍を務めている。私とジョエル、マティウスは年齢は少し違うが幼馴染だ。
それとダグラムは私とマティウスの武術の師でもあるんだ」
「マティウス・トルステンです。花嫁様の警護に就かせていただきます。花嫁様には何者にも手出しはさせませんのでご安心ください」
「エリアナ・コンラートだ。ユーリと共にケイトに仕える。ダグラムの姪だ」
「エリアナ・コンラートと申します。真心を込めてお仕えいたします」
3人の紹介がすむとレオンは佳斗に乗せた手に僅かに力を入れる。佳斗はその合図を正しく理解し座ったまま挨拶をした。
「竜崎佳斗です」
佳斗が名前を告げると3人が顔をあげる。それを見て佳斗がレオンにチラッと視線を送ると彼は軽く頷く。
佳斗も笑みを浮かべるともう1度、口を開いた。
「まだ慣れないこともありますが宜しくお願いいたします」
あえて“異世界から来た事”を言わず、本当は“判らない事だらけ”と言いたいところを“慣れない”という言葉に変えて挨拶をした。
再び、レオンに視線を送ると同時に頭の中に彼の声が響いてくる。
≪さすがは我が花嫁。ケイト、上出来だ≫
急に声が聞こえ、一瞬、ドキッとしたがそれは表に出さず視線を送ることでレオンに伝えようとした。
≪驚かせてすまない≫
≪いえ≫
≪3人の印象はどうだ?≫
≪皆さん、良い方々のようですね。嫌な感じは受けません≫
≪ならば良い≫
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