long(ファンタジー)
29. ・
「叔母上の勢いに驚いたんじゃない?」
「いえ、違います。あの・・・・こんな事を言うのはこの場では相応しくないかもしれませんがお美しい方だと見惚れてしまいました」
クスクス笑いながら言うマリオンの言葉を佳斗は即座に否定し、正直に思ったことを口にするとアンネマリーは驚いたような表情をみせたあと、
またニッコリと笑った。
「まぁ、花嫁様はなんて嬉しいことを言って下さるのかしら。レオンには勿体ないくらいですわね」
「叔母上・・・・冗談でもそんな事を言わないで下さい・・・・・」
レオンはクスクス笑い続けるアンネマリーとマリオンに何ともいえない表情を向けると佳斗の椅子を引いた。
「ケイト、とりあえず座ろう」
「あ!国王様にそんな事をさせてしまうなんて・・・・申し訳ありません」
「いい。私がしたいのだからさせてくれ」
佳斗が慌ててレオンを止めようとしたが当の本人は気にするでもなく笑いながら佳斗に座るように促し佳斗は申し訳なさでいっぱいになりながらも
礼を言い、おとなしく席に着いた。
レオンはそんな佳斗を満足そうに見て自分も座ると残りの2人もそれぞれの席に座る。
席に座ると同時にユーリが淹れたての香茶を4人の前に出す。それを1口飲んでアンネマリーが面白そうに口を開いた。
「レオンがそんなことをしている姿は久しぶりに見ますわ」
「え?そうなんですか?」
彼女の言葉に佳斗は意外そうに聞く。
「はい。“叔母”ということもあって私にはしてくれていますけれど他の方にしている所は見たこと無いですわ。そうね・・・お義姉さまくらいかしら」
「僕達の母上だよ」
マリオンが懐かしそうに左腕のバングルを触りながら言うのを見てアンネマリーは続けた。
「マリオンのバングルはお義姉様の形見なんです・・・・そうそう、レオンの話でしたわね。
花嫁様が来られる前のレオンでしたらお付き合いをしている方にすら椅子を引くなんてこと、していませんでしたのよ」
「ゴホッ!!」
「どちらかというと冷たいと言われ・・・」
「ゴホッゴホッ!!」
アンネマリーの言葉を聞くなりレオンが盛大に噎せ、佳斗は慌ててその背をさするがあとの2人は笑っている。
レオンはその2人を軽く睨むとさすってくれている佳斗の手を取り言った。
「ケイト、叔母上の言ったことは気にしないでくれ」
「国王様もそれなりの年齢ですし恋人の1人や2人、いても不思議ではないと思いますから僕の事は気にされなくても大丈夫ですよ」
「まぁ・・・・主人の言うとおり、花嫁様は心の広い考え方が柔軟な方なのですね」
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